迎えた歌のテストの日、朝練が終わって教室に行くと、いつも隣の席にいる瀬名さんがいなかった。
休みなのかな…?
ショートホームルームが始まっても瀬名さんは来なかったので、どうやら休みらしい。
瀬名さんは普段あまり休むことがないから少し心配だ。
そんなことを思いながら俺は音楽室に向かった。

無事授業が終わり教室に戻ると瀬名さんが来ていた。
「おはよう、どこか調子でも悪かったのかい?」
「うん、ちょっとお腹の調子が悪くて…でももう大丈夫だよ」
「そう、ならいいけど」

その時柳が教室に入ってきた。
「久しぶりだな瀬名」
「…久しぶり」
「今来たのか…相変わらず歌のテストだけは出ていないようだな」
「別に…たまたま体調が悪くなるのが歌のテストに重なるだけだよ」
「たまたまもここまで重なると何らかの意図を感じるが」
「皆の前で歌うのが嫌で精神的な負担が身体に反映されるのよきっと」
「瀬名がそんなに繊細だとは思えないが」
「…何が言いたいの?」
「柳、君は瀬名さんに用があってここに来たのかい?」
「いや、精市、今日の昼休み時間があれば話したいことがあるのだが」
「空いているよ。じゃあ4限が終わったら部室で」
「ああ。ではまた」

柳と瀬名さんが昨年同じクラスなのは知っていたが(というか柳から訊いたのだが)、二人の仲があまり良くないということは知らなかったので、俺は少し驚いていた。
「ありがとう幸村くん、柳の話を遮ってくれて」
「いや別に…柳とは仲が良くないの?」
「良くないっていうか…何か柳が突っかかってくるというか…たぶん柳が私のこと嫌いなんだと思う。昨年からずっとそうなの」
柳が瀬名さんを嫌いというより、瀬名さんが柳を嫌いなように見えたけどな…と思ったが言わなかった。
それより柳がわざわざ時間をとってまで話したいことって何なのか、午前中ずっとそのことが気になって仕方がなかった。


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