気付かなかったお前が悪い (1/3)


ーー誰かに見られてる。

社会人になってこのアパートに暮らし始めてもう2年程経つのに、そう感じ始めたのはここ3ヵ月くらいのことだった。
一人暮らしだから誰かに見られるなんてことあるはずない。
でもほとんど毎日、脱衣所の扉の向こうに"何か"がいるような感じがするなんておかしいし、不気味だ。
何人か友達に相談してみても、気のせいだよ、とか、疲れてるんだよ、とか、仕方ないけれどそんなことしか言われない。
しかしながらもう3ヵ月、やっぱり気持ち悪いから彼氏である(しかも霊感があるらしい)蓮二に相談してみることにした。

そういうわけで、蓮二に「家に何かいるみたいで怖いから今度時間があるときに見に来てよ」と連絡してみたら、早速同じ週の日曜日に来てくれた。
「お前の家に来るのは久しぶりだな」
「そうだね、私が蓮二の家に行く方が多いから」
理由は単純、蓮二の家の方が私の家より広いからである。
さすが一流企業の出世頭は平凡なOLの私とは稼ぎが違う。

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