才女と野獣 (1/5)


「ごめん由起奈、手伝って!」

以前の実力テストは緑間特製のコロコロ鉛筆で凌いだ火神だったが、次の期末テスト(筆記)ではそうはいかないだろうと相田リコは思っていた。
そこで彼女は友達を頼った。
同じクラスで昨年からテストで総合一位を譲ったことがない桐島由起奈である。
特に文系科目の成績は他の追随を許さず、英語の成績は全国でも上位に入る。
最初の英語の授業で教科書を読まされたときはあまりの発音の美しさに教師ですら聞き惚れたほどである。
つまり、由起奈一人いればわざわざバスケ部員を召集せずとも火神の対策はバッチリ…のはずである。
言い切れないのが悲しいが。

「別に私なんかでいいなら全然協力するけど、リコ一人でも充分なんじゃないの?」
「全然、国語の成績が伸びないの!由起奈をもってしても何とかなるかどうか微妙なとこ」
「その火神くんだっけ?は、リコとか日向くんがよく言ってるあの一年の子だよね?どっちの子だっけ」
「アメリカ帰りの方よ」
「じゃあ英語はできるの?」
「ところが文法が全然なの。何か日本の英語は細かすぎるんだよ!って言ってた」
「確かにそれはそうね。じゃあ土曜日にリコの家でいいかしら?」
「ええ、遠慮せずビシバシしごいてやって!」

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