君がいるから (1/2)


「待たせたね、由起奈」
「ううん、今日の復習やってたから全然大丈夫だったよ……って秀、何かすごい疲れてない?」

私が待っていた相手――大石秀一郎はテニス部の副部長だ。
癖のある部員達をまとめるのに日々苦労している。

「いや、大丈夫…ちょっと部員同士が揉めただけで…」
「また?どうせ2年のあの2人でしょ」
「よくわかるね…」
「だっていつもじゃない」
「悪い奴らじゃないんだがな…どうも馬が合わないらしい」

秀、そろそろ胃潰瘍で倒れるんじゃないの。
そう思うほど秀の最近の胃の調子は悪そうだ。
ほら、今もまたさすってる。
今度私があの2人にビシッと言っておこう。

(秀の彼女である私はテニス部全員に知られていて、そしてなぜか恐れられているみたい。
えっ私?もちろん何もしてないよ?
たまに秀に代わってお節介を焼きに行くくらいかな?)

「由起奈、何か恐いこと考えてない?」
「えっ、何にも?」
「(その笑顔が恐いんです由起奈さん…)」

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テーマ「人外ファンタジー」
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