才女と野獣 (3/5)
「たぶん火神くんは基本はわかっていると思うし語彙力もあると思うから細かい文法事項だけ覚えたらだいぶ点数が上がると思うの。まずはこのページの問題をやってみて」
由起奈は火神の解答を見て苦手なパターンを分析、その部分を集中的に説明して理解させ、何パターンか基本問題から応用問題を作って火神に全問正解させるようになるまで1時間とかからなかった。
「今回の範囲だったらここまでやっておいたら大丈夫。コツは掴んだでしょ?」
「何となく…」
「たぶんリスニングは対策しなくて大丈夫だと思うわ、日本の英語は筆記が細かくて難しい分、リスニングはアメリカに住んでたなら簡単なはずだから。実力テストで難しいって感じた?」
「いえ…」
「じゃあ大丈夫、国語は明日に回した方が効率がいいから、次は理科系をまとめてやっちゃおうか」
「やっぱ由起奈すごいわー…」
「本当ですね。というか桐島さんが海外行ったことないなんて火神くんが帰国子女ということ並みに信じられないですよね」
「確かに」
2人がそんな無駄口をたたく余裕があるほど、勉強会はスムーズに進んだ。
結局、リコは土曜日中には英語が終わればいい方だと考えていたのだが、理科まで終わらせることができ、翌日国語に割ける時間が増えたことを喜んだ。