美優ちゃんと話してから何日か経ったある日、久しぶりに比呂士くんとデートする約束をした。
当日、待ち合わせ場所に行くともう比呂士くんは来ていて、何人かのお姉さんに声をかけられていた。
何でかわからないけど何となくその場に行きづらかった私は少し離れた場所からその光景を見ていた。
お姉さん達はたぶんナンパだろう、これまでも何回か比呂士くんが絡まれているのは見たことがあった。
お姉さん達が何を言っているかは聞こえなかったのに、比呂士くんの声だけはやけにハッキリ聞こえた。
「すみません、せっかくのお誘いですが、これからかわいい彼女とデートなので」
比呂士くんがそう言うとお姉さん達は去っていった。

比呂士くんが私のことをかわいい彼女って言ってくれたのは嬉しかった。
でも、せっかくのお誘いって何？
もし私と約束してなかったら、比呂士くんはお姉さん達の誘いを受けたの？
そっちばかりが気になって、なかなかその場を動けなかった。