君の気持ち あなたの笑顔 (2/5)


「贅沢な悩みね」
友達の美優ちゃんに相談したらバッサリとそう斬り捨てられた。
「安売りみたいに好き好きって事あるごとに言われるよりよっぽどましよ。そんなに悩むくらいなら本人に私のこと好き?って訊いたらいいじゃない」
確かに美優ちゃんの言っていることはごもっともだ。ごもっともなんだけれど…。
「訊いても、すっごい素敵な笑顔ではい、って微笑まれるだけなの」
「そんなの好きって言われてるのと一緒じゃない。何が不満なのよ」
「だから、私は比呂士くんの口から直接好きって言われたいの」
「だったらそれを私じゃなくて柳生くんに直接言ったら解決するじゃない。肯定の返事をもらっててなおかつ付き合ってるのに何がそんなに不安なの?」
「…前に言ってみたことがあるの、そしたら、すっごく困った顔されたの」

そのときの「…あのヘタレ似非紳士、今度会ったら一遍どついてやる」っていう美優ちゃんの呟きは聞かなかったことにする。

「由起奈が何で不安なのかはわかった。何で柳生くんが困った顔をしたかはわからないけど、とにかく柳生くんはあんたのことちゃんと好きだと思うよ」
「そうだったらいいんだけどなぁ…」
「どっかの誰かさんとは違って柳生くんはちゃんとあんたのことを大切にしてる。少なくとも私にはそう見える」
「…仁王くんだって美優ちゃんのことちゃんと好きだと思うよ」
一瞬美優ちゃんは驚いたような顔をしたけど、すぐにどうだかね、と言った。
「いつも私の話ばっかり聞いてもらってるから、私だって美優ちゃんの話いつでも聞くからね」
そのときありがとうって言った美優ちゃんの顔は何だか少し哀しそうだった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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