恋に落ちる音がした (1/2)
あーしんどい。
元々朝から体調がよくなったけど、熱がないから大丈夫だろうと無理矢理登校して、フラフラする頭と体を叱咤して無事全ての授業を受け切り、ガンガンとさらに痛みを増した頭を抱えている私を待っていたのは満員電車。
立海生で埋め尽くされた(本当に一般の人ごめんなさい)車両に当然空いている席なんてあるはずもなく、もちろん私に席を代わってくれる親切な人がいるわけもなく(私だって運良く座れたら絶対に代わらない)、もはや私の身体は限界を迎えようとしていた、ちょうどその時。
「大丈夫っスか?」
ふとかけられた声。
顔を上げてみると何となく知っているような知らないような顔と目があった。
ネクタイの色から一つ下の学年だとわかる。
「先輩、荷物貸してください。俺が持ちます」
非常にありがたい申し出だが(たぶん)知らない後輩に荷物を持たせるなんて申し訳なさすぎる。
そう思っていたら持っていた荷物をひったくられた。
「そのままずっと荷物持って立ってたらぶっ倒れますよ。俺にもたれててください、ちょっとは楽だと思うんで」
何なのこの超絶いい子は。
大変申し訳なかったけど、もはや身体は限界値を超えようとしていたので、私はそのありがたすぎる申し出に甘えることにした。