カナワナイ (5/5)


なのに私は何で今丸井に捕まっているんだろう。

放課後、さっさと帰ろうとしていたのに、話があると言われて校舎裏に引っ張られてきてしまった。
当然抵抗したけれど、一般女子は男子に力では敵わないのだ。

「お願いだ、謝らせてくれ」
「…もうその話はいいって言ったよね」
「わかってる、でもどうしても謝りたいんだよぃ。頼む、俺に謝らせて…そして好きって言わせてほしい」
「…今、何て…」
「ずっと好きだったんだ。だからおまえに好きな奴がいるって聞こえてきて、すごく気になった。でもおまえの口から俺以外の奴の名前を聞きたくなかった。俺はおまえ以外無理なのに、無理なのは俺の方なのに、お前が好きなのは俺以外の奴なんて聞きたくなかった。だからあんなこと言って…本当に、ごめん」
――都合のいい、幻聴なんかじゃないよね?
――信じても、いいんだよね?

「…嘘…」
「嘘じゃない」
「…私もだよ」
「…え?」
「私も丸井じゃないと無理。丸井が好き」
思わず私は丸井に抱きついた。


カナワナイ
(叶わないと思っていた想いが叶った瞬間)
(それは苦かったからこそ余計に甘く感じた)



120623 初出
120724 修整
130212 転載



ブンちゃんの口調迷子ですみません。
いつかブンちゃんside書きたいな。

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