カナワナイ (4/5)


結局一睡もできないまま朝になった。
顔はむくんでいるが目は腫れていないのでよしとする。
気は進まなかったがいつも通り学校に行った。

美優達はいつも通りにおはようと言ってくれた。
昨日のことなんてなかったかのように振る舞ってくれたから、かえって落ち着けた。
朝のホームルームが始まる頃にはもうほとんど立ち直っていた。

「桐島…」
丸井が話しかけてきた。
「あの、昨日のことなんだけどよぃ…」
「ごめん、私が悪かった」
「…えっ?」
「よく考えたらさ、私があそこまで言う権利なんてないんだよね。ちょっと頭に血が上っちゃってただけだから。謝らなくていいよ」
「いや、でも」
「だからいいって、もうこの話は終わり」
逆にここで謝られると私がキツイ。
可能性がないってわかってるのに、余計に好きになるのはつらい。
「…わかった」
そしてそのまま放っておいてくれれば一番いい。
後はただ時間が経ってこの気持ちがどこかに行くのを待つだけだ。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -