カナワナイ (3/5)


丸井が出ていって気配がなくなったことを確認してから私は言った。
「私の好きな奴、丸井なの」
目の前の2人が目を瞠ったのがわかった。
「あいつの言う通り、こんなところで話してた私達が悪い。だからあれ――どう考えても八つ当たりだよね。そもそもあいつ、全然関係なくないし。何言ってんだろうね、私」
「ごめん由起奈――」
「話そうと決めたのは私、美優達は悪くないよ。だから謝らないで」
もうこの話は終わりだと伝えるように立ち上がる。
「でも、さすがに今は笑えない。悪いけど今日はもう帰らせて」
これ以上気を遣わせるのは忍びなかった。
「大丈夫、明日はちゃんと来るから、いつも通りにしてくれると嬉しいな」
また明日ね、と言って、私は教室を出た。


言われた言葉はさすがにキツかった。
同じクラスになって、一回だけ隣の席になって、言葉がキツイだけで実は優しい奴だと知った。
困っていると絶対に気がついて助けてくれて――嬉しかったのに。
思い当たることもないけど、あんな風に言われるほど、嫌われていたのはショックだった。

でも、仕方ないよね。
元々想いを伝える気もなかった。
別にどうこうなりたいとか思っていたわけじゃなくて、ただ見てるだけで幸せだった。
そもそも叶えようと努力していたわけじゃないから、悲しむ権利もないよね。


次の日に目が腫れて美優達に心配をかけるのは嫌だったから泣かずに寝た。
泣かない方が泣いたときより傷付くことを初めて知った。

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