リップワルツ


※イチャイチャ甘いだけ。





「なまえちゃん」


吹雪君の声に振り向くと額にあたたかいものを感じる。
どうやら、彼は私の額に口づけをしているようだ。


「なんでデコチューなの?」


苦笑しながら目の前の愛しい人を見る。
吹雪君は私の額から唇を離すと、にこりと微笑んだ。
しかし、その笑顔はどこか悪戯っぽい雰囲気を漂わせている。

いつも思うけど、吹雪君って凄く綺麗。
妖精か天使みたいにふわふわキラキラしてて、私には分不相応だよね…
それでも、こんな私を愛してくれる彼はとっても変わり者。


「ここのほうがよかった?」


私の唇に白くて細い指が添えられる。
思わず私の顔に熱が集中した。耳まで熱い。


「ばばば、馬鹿じゃないのっ…!?」


やばい…動揺してるのこれじゃ分かっちゃうよ、ね?
思わず顔を背けちゃったけど顔は真っ赤だよ…


「真っ赤になっちゃって、なまえちゃん可愛い」


クスクスと笑う吹雪君を横目で睨む。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい!!
もう嫌だ、穴があったら入りたい…!


「か、からかわないでよ…っ」

「ごめんごめん」


吹雪君は尚も笑いながら「お詫びだよ」と言って私の唇にキスをした。
あまりに突然のことで私の意識が一瞬フェードアウトする。
喰らいつくような狼の接吻。
甘く長いその感覚に全てが蕩けてしまいそうになる。


「んぅ…っ」


やっと離された唇は酸素を求めて「ぷはっ」と音を立てた。
呼吸を整えている私を、吹雪君は余裕の表情で見ている。
く、悔しい…!


「吹雪君の馬鹿…っ、………大好きだよ」


ぼそりと呟いて吹雪君の胸元に飛び込む。
優しく受け止めてくれる彼の匂いはまるでマシュマロみたい。
また頭がくらくらした。


「僕も大好きだよ、なまえちゃん」


ぎゅうと抱きしめられ、私もそれに答えるように抱きついた。
こんな時間がいつまでも続けばいいのになぁ…


その後どうなったかって?
少女の体中に薄紅の花がいっぱい咲きましたとさ。
花が咲く音はまるでリップ音のワルツのようだったとか。



RETURN TOP
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -