紅色マリアージュ


※なまえちゃんがヤンデレ。グロ死ネタ。
大人ななまえちゃんと鬼道。苦手な方は注意。











愛する人と結ばれてこそ、人は幸せになれる。
昔、母さんが言っていた言葉だ。
私はこれを信じて今まで生きてきた。愛する人と共に。

それなのに。
それなのに、それなのに、それなのに、それなのに。
どうして有人は、別の女と結婚してしまうの?

有人は鬼道財閥の跡取り息子だ。
政財界に顔がきく家のお嬢様と結婚する。所謂、政略結婚というやつ。

確かにそれは正しいことかもしれない。
でも、私は有人に捨てられたんだ。その事実は変わらない。
「別れよう」という彼の言葉は、死の宣告よりも重かった。

後日、私は有人を電話で呼び出した。
“最後に話したいことがある”と言って呼び出したのだ。
有人のことだ、素直に来てくれるだろう。


「なまえ」


有人だ。やっぱり来てくれた。
昔つけていたゴーグルも今はなく、柘榴石の瞳が私を見ている。
嗚呼、何て綺麗なんだろう…私のものだったはずの宝石。


「来てくれたんだね、有人」

「…お前、その格好は……?」


まじまじと私を頭のてっぺんから爪先まで眺める有人。
私が着ているのは純白のウェディングドレス。
ギリシャ神話の女神のようなエンパイアラインのドレスに、エンブロイダルレースをあしらっている。


「ふふ、似合ってる?」


裾を少しだけつまんで軽く会釈をする。
有人は呆気に取られているような表情だ。
そんな顔も可愛い……


「似合ってはいるが…どうしてそんな格好を……」

「…私と有人の結婚式よ」

「結婚、式…?」


そう、これは私と貴方の結婚式。
貴方が離れていく前に。貴方を奪われてしまう前に。
私との愛を確かめ合う為に婚礼を挙げましょう。


「なまえ、俺はお前とは結婚できないと…」

「そんなこと知らない、私は有人と結ばれるの」


有人の言葉を遮ると、私は持っていた淡い桃色のブーケから包丁を取り出す。
この日の為に選んだ特別な白刃。


「なまえ…!?」


後ずさる有人に歩み寄る。
怯えているのかしら?ふふ、可愛い。


「ま、待て、話を…」

「話せば私と結婚してくれるの?違うでしょう」


重く低く呟き、私は有人の間合いに入り込んだ。

ぐちゃり。
有人の腹部に深々と包丁を突き刺す。
その反動で有人は床に倒れこんだ。


「が、ぁ……っ」


私は有人の上にまたがり、包丁を振りかざす。
抜いては刺し、抜いては刺しを繰り返し続ける。
声にならない悲鳴が有人の喉から放たれた。


「あは、あははっ」


ぐちゃぐちゃ、ぐちょぐちょ、ぐじゅぐじゅ。
鮮血と内腑が絡み合い、私の純白のドレスを汚していく。
瞳孔の開ききった有人の瞳からは、涙が溢れている。

そして私は赤く染まった包丁を横に置いた。
人の形をとどめていない彼の体はぴくぴくと痙攣し、柘榴石の双眸は光を失って濁っている。


「ふふ、綺麗だよ有人」


ごく僅かにしか息をしていない唇にそっと自分のそれを重ね合わせる。
ほんのりと鉄の味がした。なんて美味しいんだろう。
しばらくの間、私は彼の唇を貪り続けた。


「有人の瞳の紅、有人の血と内腑の紅、私のドレスについた血の紅…」


有人から唇を離し、置いてあった包丁を拾い上げる。
そして、自らの左胸に先端を突きつけた。


「最後は、私自身の“心”の紅」


ぐさり。
有人を刺し続けた包丁で私自身の胸を貫く。
瞬時に激痛が全身を駆け巡り、私は有人の屍に上に崩れ落ちた。


「ゆう、と…愛し、て……る…」


酸素を取り込むことを拒否する喉から愛を囁く。
彼が生きているわけでもないのに。
それでも、私と有人の血は混じりあい結ばれることが出来る。
私はそれだけで幸せだもの。


ねぇ?貴方もそうでしょう?愛しい人。




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こんにちは、果実です。

初後書きでございますが…すいませんでした…っ!
なまえちゃんも鬼道さんも殺してしまうと言う…
しかも超次元無理矢理エンドで申し訳ないです><

きっと鬼道さんと付き合ったらこうなってしまうんだろうなぁ、という妄想です。
ヤンデレが書きたかったと言うのもありますが^^;
ドレスにはこだわりがあります、エンパイアライン綺麗です。

皆様、くれぐれも現実でこんなことはなさいませんように…←



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