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「ミトス!リレイヌ!」
「あれ?ロイドさん…?それに皆さんも…」
「……」
森を出ると、ロイドさんたちと鉢合わせた。どうやら彼らも森の方に用があるらしく、「二人ともなんでここに…」と驚いている様子だ。
私は素直に「精霊の王に用があったので」と答えた。これに、ミトスくんが「リレイヌ」と私を呼ぶ。
「教えなくていいよ、こんな奴らに…」
「まあ、いいじゃないですか。目的は一緒なんですし」
「ちょっ」
「目的は一緒?どういうことだ?」
食いついてきたロイドさん。ミトスくんが嫌そうな顔をしているのを横、「世界統合について、お話を伺っていたんです」と答えを与えてやる。
「世界統合についてって……まさか、二人とも…!」
ジーニアスくんの顔が晴れやかなものに。
ミトスくんはそれを受け、腕を組みながら呆れたように告げた。
「そもそも、ボクたちはマナが不足していたから世界を統合した。それをまた戻すとなると、必然的にマナの不足で世界が終わる。当然のことだよね?」
「そ、そうだったのか!?」
「あのさぁ、こういうのは事前に調べとくべきなんじゃないの?これだからお前たちみたいな奴らに世界のことは任せられないんだよ」
吐き捨てるミトスくんに、顔を見合わせる面々。
皆が新事実に驚く中、何かを決したようなロイドさんが前へ。「助かる方法を、探してくれてたんだよな?」と問うてくる。
ミトスくんはそれに、ただ顔を背けた。
無言の動作は素っ気ないものだが、それでも十分に彼の言いたいことは伝わる。
「ありがとう。ミトス、リレイヌ」
「……別に…」
「ふふ、素直じゃないですね」
「リレイヌ、うるさい」
気恥しそうなミトスくんに笑い、視線をロイドさんへ。
「大丈夫だったでしょう?」と言えば、彼は安心したように「ああ」と頷く。
「……で?けーっきょく、マナ不足の問題は解決できそうなのか?」
ゼロスさんが問うてきたので、私はそれに頷いた。
ミトスくんがすぐに大樹を楔にすることを伝えている。
なるほど。
全員が頷き、そして見えた希望に笑を零した。
そして、「行こう」と手を差し出してくる。
「世界を、一緒に救おう」
揺らぐことない強い眼差しに、ミトスくんはやれやれと首を振ると、やがて静かにその手を取った。
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