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「……裏切り者ミトス。お前に、主は救えるか?」

発されたのは小さな確認。
ミトスくんはその言葉に訝しげに眉を寄せると、私を見た。私は肩を竦めて首を振る。

「……よくわからないけど、救う。それがボクにできるなら」
「……」

オリジンは、どこか安堵したようだった。
一度信じて裏切られた彼は、けれどもミトスくんの強い意志を感じ取ったようだ。ならばいいと、満足そうに頷く。

「──ミトス、剣を取れ」
「は?」
「今一度お前の力を試したい。今度は勇者としてではなく、選ばれた者として、お前の力を見極める」
「……いきなりなに訳の分からないことを……」
「主と共にあると望むなら、我らの力は必要だと思うが?」

目を見開いたミトスくんは、少し考え、前に出た。「ボクが勝ったらなにをくれるの?」と問う彼に、精霊の王はこう告げる。

「我らの忠誠と主の真実を」
「……いいね」

ほくそ笑んだミトスくんは、宙より武器を取り出すとそれを軽く振るった。そんな彼に、精霊王は一度私を見て頭を下げると、戦闘態勢に入る。



少し経てば、戦いは終わった。
一対一だというのに、多少の切り傷を作っただけで精霊王に勝利したミトスくんはさすがラスボスというべきか…。
軽く頬を拭った彼を見ながら、私は小さく息を吐く。

「……勝負には勝った。約束通り話してもらうよ。真実ってやつを」

告げたミトスくんに、精霊王は立ち上がり、頷いた。そして、「世界は数多に存在する」と話し出す。

「シルヴァラントとテセアラだけではない。さらに多くの世界が、今も生まれ、消え、存続している。それらを作り出すのは古来より創造主とされてきた」
「創造主?」
「世界創造主龍神のことだ」

ちら、と向けられる視線。
ミトスくんがまさか、と私を見る。

「創造主龍神の六代目……それが、そこにいる、リレイヌ・セラフィーユ様だ」

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