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「──リレイヌ。お願いがあるんだ」

遠い遠い昔のこと。地上と隔絶された地下世界で、天を見上げながら師は言った。私に、『救ってほしい命がある』のだと。

「彼らはきっと、君にしか救えない。君だからこそ救える者たちなんだ。だから頼む。彼らをどうか、闇の中から救いだしてやってくれ」

彼らとは誰か。闇の中とはなにか。
一見重要そうにも思えるその答えは告げず、師はそこで言葉を終えた。そのまま去り行くその背中は随分と小さく、そしてどこか悲しげだったことを、私は今でも覚えている。

「……救う」

そのような大層な役割が、はて、私などに果たせるのかどうか──。


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