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「よし、決まった。俺たちも二つの世界を変える方法を探す。協力しよう」

ロイドさんの言葉にタイガさんは満足気に頷くと、視線をしいなさんへと向けた。

「では、しいなには引き続きロイド殿の同行を命ずる。今度は監視役ではなく、連絡役としてな」
「は、はい!」

副頭領であるタイガさんの言葉に、しいなさんは姿勢を正して答えた。
彼女らしいその元気な返事に、タイガさんが小さく笑う。

「しかしタイガさんよ。そうすっと完全に王家と教会を敵に回すぜ?」

言ってゼロスさんが口の端を上げた。
その挑戦的な視線を受け、タイガさんはゼロスさんに視線を向ける。

「では神子さまにお訊ねしよう。二つの世界の片方を犠牲にする勢力と、二つの世界を生かそうとする勢力。神子さまならどちらにつかれる?」

試すようなその口ぶりに、ゼロスさんは微かに眉間に皺を刻む。
何と答えるのだろうと注目していると、彼はゆっくりと口を開いた。

「有利な方……」

その口から出てきたのは、いつもよりも若干低い声。
だがそれも一瞬の事で、彼はいつものように笑った。

「と言いたいが、まあ、普通は生かす方に力を貸してやりたいわな」
「そういう事です。当面我らは、レアバードの発見に全力をつくします。幸いしいながレアバードに式神をつけていたようですので、そちらからたどればすぐに発見できましょう」
「分かりました。よろしくお願いします」

ロイドさんが挨拶すると、皆次々と部屋を出て行った。それに続くように、私も膝を伸ばして立ち上がる。

「無礼を承知でお訊ねします。貴殿がリレイヌ殿ですかな?」

ピタリと足を止めれば、先を行こうとしていたミトスくんの歩みも自然と止まった。振り返れば、真剣な表情のタイガさんと視線がかち合う。

「はい。私がリレイヌですが……」

言って、頷けば、タイガさんもまた深く頷いた。そして、徐に床に手を着くと、そのまま彼は深々と頭を下げる。

「よく、ご無事で…」

心底安心したようなそれに目を瞬き、「顔をあげてください」と一言。

「そのような事をされても、困るだけです。それに、私は急いでますので、用件がないならお暇させていただきたいのですが…」

やんわり言えば、タイガさんは静かに顔を上げ、やがて悲しげに眉尻を下げると、「申し訳ない…」と謝るのだった。

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