7




「おい!一般人を巻き込むなんて、それでもあんたら騎士団かよ!」
「黙れ!ハーフエルフと行動を共にしていた時点で、そいつも怪しい!一緒に地下室で大人しくしていろ!」
「んだと──!!」

叫ぶ赤色に、幾人もの騎士たちが武器を向けた。自ずと私にも向けられるそれは、切れ味が良いのか、鋭い光を放っている。

「ロイド、やめなさい!その子にまで危害が及ぶわ!」
「っ、けど、先生!」
「……あのー」

そろりと片手をあげ、未だうつ向く金髪少年を指差した。あまりよろしくない行動だが、許してほしい。
忽ち静まり返った空間で、「その子、どうなるんですか?」と疑問を紡ぐ。てっきり無視されると思っていたそれは、存外聞き入れられたようだ。リーダー各の騎士が答えてくれる。

「ハーフエルフの罪人は、例外なく死刑だ」
「罪人でない場合は?」
「一生軟禁生活。地下に閉じ込められ、二度と陽の光を拝めないだろう」
「なぜ?」
「ハーフエルフだからだ」

いや、理由になってない。いろいろとおかしい。

眉を寄せながら首を傾げれば、「とりあえずお前たちは大人しくしていることだ」と、そのまま連行。騎士に囲まれながら研究所の奥へと赴き、そこにあった扉から、地下へと続く階段を降りていく。

「……誰!?」

地下の薄暗い部屋。髪をひとつに結いあげた女性が振り返った。
その女性に対して忌々しげに、騎士の一人は舌を打つ。

「ハーフエルフ風情が俺たちに声をかけるな。お前は黙って作業を続けろ」
「こいつらは罪人だ。引き取りに来るまでここに監禁しておけ」

言うだけ言って部屋を出た彼らは、外からガチャリと鍵を回した。
数回音がしたことから、警戒していることが窺える。肝の小さい奴らだ。

「罪人ねぇ。折角人間に生まれたのなら、大人しくしていればいいのに」

女性が呆れたように言った。
それに、赤い人が否定を表す。

「お、俺たちは何もしてない!」
「シルヴァラントに帰ろうとはしてたけどな」

茶化すような声音に、青年はうっと詰まった。かと思えば、じとりとした目で赤毛の男を見やる。

仲が悪いのだろうか。

どこかぼんやりとしながら、周囲を見回した。

微妙な暗さのそこは、上とは違い、様々な科学薬品やら機械やらが置かれていた。懐かしい記憶が、嫌悪感と共によみがえってくる。
思わず口元を押さえれば、同じくして、「……う……、来ないで……」と小さな声が聞こえてくる。振り向けば、地下にいた女性が、桃色の髪の少女に近づいているところだった。大人しい彼女にハッと息を飲んだ女性から、少女は嫌がるように逃げている。

「……プレセア? プレセアね? どうしてあなたまでここに!」
「プレセアを知ってるのか?」
「そ、それは……」

なるほど、あの子はプレセアというのか。
一人頷く私をよそ、表情を固くした女性が、言い淀んで視線を床に彷徨わせる。赤毛男はその様子に、胡乱気(うろんげ)な表情を浮かべ、疑問を紡いだ。

「王立研究院のハーフエルフが人間の子供と知り合いねぇ? 可笑しいじゃねぇか」
「どうしてだ?」

首を傾げた赤色。どこか空気の読めない彼をちらりとも見ずに、男は鋭い眼差しを女性に向けている。

[ 10/43 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -