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「――あれ?終わっちゃったんですか?試合…。」
「おお、晃。たった今終わった所だ。」
審判の永倉に晃が尋ねたが、来るのが遅かったようで既に試合は終わっていた。
「――斉藤さんは?」
「うーん…………井戸の方じゃないか?」
「ありがとうございます。」
井戸へ行くと永倉の勘はピタリと一致。
「いたいた斉藤さん。お帰りなさい!」
「ああ、月村さんか。」
「土方さんがこれから局長室に来いって言ってましたよ。私もですけど。」
「?何かあるのか?」
「ええ、まぁ。大した事じゃないんですけどね。」
***
「近藤局長、土方副長。月村です。」
「――入れ。」
「―――で、局長、副長。お話と言うのは?」
斉藤が局長室に入るなり問いかけた。
「大した事じゃないさ。
今日から晃が密偵に加わると言おうとしただけだ。」
「そうですか。月村さんが加われば仕事もよりしやすくなるでしょう。」
「ああ。これからは危険な仕事も増えるだろう。2人で何か探る事が多くなるだろうが、頼んだ。」
「承知。」
これで話しは終わり。
けれど、晃も近藤も、この短い会話で土方がどう思っているのかは分かる。
照れ屋な土方だから、余計に分かりやすいのだろうか。
――晃が無茶しないように頼むぞ――
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