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剣心が逃げている場所に行くと、剣心の目の前に不敵な笑みを浮かべた剣客警官隊と呼ばれる暴れ者の集まりの帯刀をした警官がいた。

剣心を見つけた薫は駆けていく。――が、

「薫殿!来るな!」
「――え!?」


ガギィン!


刀と刀が交わった。
薫の頭上で。

それは晃の愛刀と警官の刀(サーベル)だった。
警官は薫の両端で、それぞれが剣を抜いていた。
薫の後ろに居た晃が刀を出さなければ、薫の頭か髪かリボンが斬れてしまうところだった。

「…お前も帯刀しているのか。」
「いやだなぁ。それはお互い様でしょう。」

晃はニッコリと返す。

「俺達は帯刀を許可されている。お前とは違うんだ。」
「……じゃあ、好き勝手に暴れて人々を斬り殺していってもいいんですね。
 まったく、どういう世の中なんですかねぇ。維新志士の成り上がり者の集まりが上に立って。
 自己中心的で私利私欲のために動く。
 町の人に喜んで貰えるように動いたらどうです?それじゃあ社会主義もいいとこですよ。」

晃の言葉とその言葉に対する民衆の肯定の言葉に、当然の事ながら罵声を浴びて頭にきてしまう剣客警官隊。


「そうだそうだ!」

「成り上がり者め!」

「調子に乗ってんじゃねぇぞ剣客警官隊!!」

「お前等警官なんか辞めちまえ!」

「もっと言えー!!」



民衆の言葉に冷汗を垂らす晃。
「ヤベ、言い過ぎた…?」

そして、晃の嫌な勘は当たり―――。


「フン。この俺に罵声を浴びせるとはいい度胸だ。
 官吏抗拒罪適用。
 一人残らずしょっぴけ。抜剣許可!!」

『抜剣許可』の言葉で警官達全員がサーベルと呼ばれる西洋の刀を抜く。
それと同時に民衆の罵声もピタリと止み、顔が青ざめた。
「斬られる。」その言葉がまさに今頭の中で回っている事だろう。

「抵抗する者は構わん。
 斬れ」

冷たく言い放った2文字の言葉で、民衆の脳内は「逃げなければ」という言葉で埋め尽くされた。
さっきまで強がっていた者も、剣を構えられるとさっきよりも顔の色が青ざめ、勢いが無くなった。
『成り上がり者(・・・・・・)の警官』は顔の表情をおもいっきり緩ませながら刀を向けて民衆に斬りかかる。






―――ピゥッ!!

「薫殿にも町の人にも、切先一寸たりとも触れるな! 
 相手なら拙者が致す。地べたを舐めたい者はかかってこい。」

怒りの表情の見える剣心の目は、正に昔『人斬り』をしていたというものが伺える程、冷酷な目だった。

剣客警官隊の長らしき人物は、さっきから「抜け」を連呼していた癖に剣心が刀を抜くと「これで当義殺(正当防衛)が成り立つ」と不敵な笑みを浮かべ、手下に命令した。

「―――殺れ」



当然の事ながら手下達は剣心と晃に斬りかかる。
薫の両隣の人は晃に斬りかかろうとするが、晃が薫を抱えて後ろに飛び、彼女を非難させた。
それでも追ってくる手下達の刀を弾き飛ばし、目にも止まらぬ速さで2人の背を峰打ち。気絶させた。

晃が刀を納めると、2つの視線に気付く。

1つは女子達の黄色い声。

――もう1つは―――



(山県有朋………。)

元維新最強軍団「奇兵隊」軍艦 現・明治政府陸軍卿、山県有朋だった。

剣心の刀が納められると、警官の人達が集め易いよう、晃が気絶させた剣客警官隊2人の首襟を持ち、引きずって剣心の周りに倒れている人達と一緒に置いておいた。

民衆は剣客警官隊の前に居たと思われる警官達に戻され、倒れている剣客警官隊はその人達の手によって片付けられた。
山形有朋はこちらへ近づいてくる。

「――月村、お前が緋村と居たとは…。驚いたな。」
「――俺は今のこいつと昔の決着を付けようとは思わない。この腑抜けた抜刀斎を斬っても何にもなりませんから。
 ただ――――こいつが間違った行動を取ったと俺が思えば、俺は動く。
 それだけです。
 それじゃあもう用も無いので、失礼します。」


晃は表情を少しも変えず、無表情のまま。言ってから軽く会釈をして歩き出した。
誰も止める者は居なかった。
ただ、薫だけが訳の分からないと言った表情で晃を見つめている。

(晃と剣心の決着って、一体―――。)




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