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…それにしても、黒幕があの海運会社を設立して超金持ちの社長だったとは。
金に目が眩むと恐ろしい事になるな。
金で自分の領土すら広げられると思い込むらしい。
そのうち邪魔になったら、別の忍に殺されるのがオチだろうに。




結局カカシすらタズナに負け、任務を続行するという決断をしてしまった。
カカシもまだまだ甘いのだろうか。
確かに、”ワシが死んだら十歳になる孫が泣くだけじゃ!”とか言われたら、どうしようもない。
まだ十歳の子どもが忍に見捨てられて祖父が死んだと知ったら、その孫はどれだけ悲しみ悔しむだろう。
こういう事になると断れないのが彼である。
まあ、仕方ないか。一応上忍二人いることだし。








次は一体どんなやつが来るだろうか。
さっきの中忍があっけなくやられたと知ったなら、次は大分強い忍が現れるのでは。














「全員伏せろ!」

カカシが叫ぶと同時に木に刺さったものは、大きな刀。
そしてその柄の上に立っている人物は、どうやら木ノ葉のビンゴブックにも載っている凶悪犯。




「へー、こりゃこりゃ。
 霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか」



これは、カカシ一人で勝てるかどうかすら危うい。
勿論自分よりも結構強い相手なのは間違いない。
自分が戦闘に加わるのも手だが、こいつは仲間でさえも簡単に抹殺した危険人物だ。
三人の下忍達と依頼主のタズナさんを守る事が役目だろう。



「写輪眼のカカシと見受ける。
 そのじじいを渡してもらおうか」 



カカシが写輪眼を露にした。
こういう時は、決まって相手が悪い時だ。
どうやら、Bランクどころの任務ではないらしい。












お互いが対峙すると、再不斬は川の上へ移動した。
川の水にはかなりのチャクラが練り込まれている。

「忍法、霧隠れの術」




辺りは深い霧に覆われ、見えなくなる。
この分では五メートルさきでさえも、もう見えないだろう。
奴が得意とするのは、一瞬の殺人。
殺される直前まで、相手の姿が見えない。音もない。



相手が殺気を発すると、ナルト、サスケ、サクラは一気に緊張が増したように見えた。
もうこれでは襲われても身動きできずにやられるだろう。


珍しく、サスケが震えていた。




「サスケ…」
「?!」

サスケの異変にカカシも気づいたらしい。

「安心しろ。お前達は俺が死んでも守ってやる。俺の仲間は、絶対、殺させやしないよ。」

にっこり笑ってこちらを振り向けば、サスケも少し落ち着いてきたようだ。
震えが治まった。
いつもは苛付くほどにヘラヘラした笑いでも、こんな時は安心の一大要素になるらしい。

「……それはどうかな?」


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