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「で、俺をどこに連れて行く気なんだ」
「んー?ここ。サスケの卒業祝いと思ってね」


サスケを半強制的に攫っていった美湯がたどり着いたのは、ある食べ物屋。
ずばり、甘栗甘。つまり、甘味床!!

「お前が食いたいだけだろ」
「あっはっは!まさか!あたしはサスケに卒業祝いにと思って連れてきてあげたのよー!おほほ!
 おばちゃーん!みたらしと磯辺、五本づつ頂ー戴!」
「あいよー!みたらしと磯辺五本づつね!」
「頼みすぎだ」
「まあまあ、いくらでも食べてってよ。あたしの奢りだから!
 忍の道は険しいんだから。これで精をつけて!」
「だったら別のところに連れて行け」
「ま、これからアカデミーに戻らないように気をつけてよ」
「…どういう意味だ?」
「卒業試験に受かったからって下忍になれるわけじゃないから、頑張んなさいって事よ」
「は?」
「浮かれるなって事」
「だから、それはどういう「はいおまちー」

かなりのナイスタイミングで団子の登場!
おばちゃん空気呼んでるなあ。


「…で、さっきのは一体「あははー。おいしー」
「おい。はぐらかすな」
「おいしいねぇ、このお団子。さあさあもっと食べてって!」
「だから、どういう意味だ」


サスケの目が怪しいと訴えているが、もうこれ以上言ってたまるか。
そうなんでも教えてもらえるほど忍の道は優しくはないぞサスケ!


実際、話を逸らそうとしたら踏み入ってはならない話題に足を入れてしまい、ドツボに嵌っただけである。

「まあ、これから一つ昇格する度にいくらでも奢ってあげるから、思う存分食べてっちゃって!
 おばちゃん!追加であんこ八本!!」
「だから頼みすぎだ」
「サスケー、育ち盛りなのに食べるの遅いね」
「……速っ………!」
「あたし、もうみたらしと磯辺それぞれ食べ終わっちゃったよ、八本」

確かに美湯の食べるスピードは速かった。菓子だからという理由もあるが、兎に角速い。
サスケの食べる速さを見て、彼の団子にまで手を付け始める始末だ。


「はーい、あんこねー!美湯ちゃん常連さんだから、おまけで三色を6本タダで追加してあげるよ!お食べお食べ!」
「え、ホントに?!ありがとーおばちゃん!!」
「いーえー!」
「さあサスケ、とんと食べなさい!手足細いんだからもっと太んなきゃダメだよー」
「俺はこんなに団子は食わない」
「えー、もったいないじゃん」
「ならお前が全部「美湯ー」
「「……?」」

またもやサスケの言葉を遮ったのは、今度は甘栗甘のおばちゃんではなかった。
誰かと思い声のした方を見てみると、甘栗甘の屋根の上に見知った顔。


「……………………なんだカカシか」
「何その間と棒読みは。」
「あたしは今サスケとお団子食べてんのよ」
「とは言ってもねぇ。ほら、アレ」

スタっと屋根から降りたカカシが指した空には、一羽の鳥が飛んでいた。

「上忍の召集?」
「そ!」
「美湯ーーーーー!!」
「?!」

今度大きな声を出したのは、眉毛が濃くておかっぱ頭で全身緑のタイツを着ている男………一応、上忍。

「い、いや!絶対、来るなァ!!!」
「ボへェっ!」

全力ダッシュで走ってきてそのまま美湯に抱きつこうとしたこの男は、右手の拳で思いっきり左頬を殴られた。
そりゃあ眉毛が濃くておかっぱ頭で全身緑のタイツを着ている男(一応上忍)に抱きつかれそうになっては、誰だって全身全霊で嫌がる事だろう。


「ガイ!あんたカカシより性質(たち)悪いわよ!変態!!」
「へ、変態…………」

殴られても別に大して傷を負う事もなかったガイだが、美湯に変態と言われ、心の傷を負ってしまった。…が、まあ大丈夫だろう。(多分)

サスケはと言うと、なんだこいつら、本当に上忍か?というような目で三人をジッと見ていた。

「とにかく召集掛かってるんだから。ほら美湯。」
「ちぇー。サスケ、お金あげるから、払っておいて。余ったらお小遣いにしといていいから」

はい、と手渡したお金は、団子の分より確かに多い。これでは確実に余ってしまうだろう。

「じゃあ、悪いんだけどねキミ。美湯をちょっと借りてくよ」
「カカシー!火影邸まで競争だー!」
「じゃあ俺は美湯と行くから、先に行っててちょーだい」
「なに?!」
「ガイ、うるさい」
「すまない美湯ー!」
「だから、うるさい」
「すま「うーるーさーいー」
「…すまん……」


なんだかんだで仲の良さそうなこの三人は、結局歩いて火影邸に向かったのだが、3人が見えなくなるまで呆れてボーっとしていたサスケは、ある事に気づく。

「…これ、俺が全部食べるのか………」

サスケが食べ終わっていなかったみたらしと磯部は、さっき二本食べたので今の残りは三本。
後から美湯が勝手に追加したあんこ八本は、美湯が4本食べたので残りは4本。
それから甘栗甘のおばちゃんがサービスとしてくれた三色団子6本は既に美湯が2本食べていたので残りは4本。計11本。
それをサスケは、美湯が去ってから一人必死で食べたそうだ。




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