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一体自分は、何の為にここにいるのだろう。
サスケとナルトの護衛の任務でいるはずだ。
相手が大蛇丸ではないにしても、守らなければ。
そもそも、自分が彼らに死んで欲しくないという気持ちが大きい。
自分も中に入って、蹴り飛ばすでも何でもいいから、兎に角彼らを外に出す事さえできれば…。
そう考えると、足は自然と彼らの方へ向かっていた。
試しにクナイを投げてみる。壁の外側に起爆札を仕掛けてみたが、びくともしない。
これは、下忍がどうこうできるようなものではない気がする。
一応上忍である自分でさえ対策が浮かばない。これは、本気でマズい。


中に足を踏み入れようとしたところで、一瞬紅い何かが見えた。


「写輪眼……………?」


戦場で咄嗟に開眼したのか。
瞳を囲うはずの三つ巴はまだ不完全だ。
相手の技は辺りの水にかなりのチャクラを練りこんで使うはず。
白の様子からしてこの術も、もう五分ともたなそうだ。


カカシの方も本格的に戦闘を開始した。
辺りにまた濃霧が立ち込め、彼らの姿を捉えることすらできない。



白が鏡からスッと出てくると、ナルトの方へ向かった。
瀕死のナルトを先に殺ろうというのか。
…いや、違う。


「サスケェ!」
「………!!」


もし自分が、もっと強かったなら。
もっと速かったら。
もっと、違う力があれば。
サスケを傷つけさせないで済んだだろうか。

相手の動きが速すぎる。
ナルトに向けて放っていた白は、すぐにサスケへと標的を変えた。
もともとそういうつもりだったらしい。サスケを、殺ろうというのか。

水遁を今から出しても間に合わない。
土遁が使えれば、多少違う結果だったろうに。
自分の無力さに失望するほどの、空虚感。


気付けばサスケは至る所に千本が突き刺さり、見るのも痛い。
幸か不幸か致命傷だけは避けているが、変に千本を抜いたりすれば大出血を起こしても何ら不思議はない状態だった。



「ゆるさねえ…!!」


何かドス黒いオーラが漂ってきたことに気付くのに、そう時間は掛からなかった。
ナルトだ。ナルトが大きな憎しみの感情を持った事で、九尾が外に出ようとしている。
九尾のチャクラが具現化し、ナルトがチャクラを纏うように白へと向かっていく。
また爪先程度のチャクラしか漏れていないはずだが、この力。
起爆札でも火遁でも、微動だにしなかった氷壁がみるみるうちにひび割れて行く。
自滅しかねない状況だった。
ナルトを落ち着けるしか今の状況から脱却する術を知らないが、いくら叫んだところで自分の声は届かない。
サスケはさっきからピクリとも動かない。早く治療しなければならないというのに、これでは…。

カカシ達もチャクラに気付いたのであろうか、空気が変わったのを肌で感じた。


ナルトが白の面を割ったとき、ナルトは急に手を止めた。
以前二人は会った事があるらしい。九尾のチャクラも自発的に治まっていく。
丁度良い。これなら、サスケの治療に当たれる。


二人が話し始めた隙に、サスケの針を慎重に抜き始めた。
出血多量にならぬ様、自分のチャクラを当てながら。
一本、二本…。
サスケは軽い体の麻痺を起こしていただけだ。
このまま針を抜く事ができれば、後は彼の回復を待てば良い。



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