From.エルヴィン



「遅かったねリヴァイ」
「エルヴィンどういうつもりだ。人をおちょくりやがって…」

俺の自室の扉の前にいたエルヴィンはうさん臭そうに笑いながら「別におちょくってはいないよ」といったが、その笑みは明らかに楽しんでいた。神経にさわるものがあったが話を聞くのが先だ。そう思いエルヴィンに部屋に入るように進めるがエルヴィンはその場でおれに一つの箱を取り出した。そして本日何回目かの一言。

「リヴァイ、お誕生日おめでとう」

箱を開けるように目線で促されて仕方なく箱に手をかける。リボンを説いて開いた中には羽ペンとインクが。エルヴィンを見れば笑いながら「もう少しデスクワークを手伝ってもらいたいと思ってね」と言われて突き返してやろうかと本気で考えた。が、何よりこのわけのわからない茶番の答えを聞くほうが先だ。しかしその考えを先まわるようにそれから、と言って一枚の紙を取り出した。このパターンも本日何度目かで、まだ付き合わされるのかとあきれるも一応目を通す。それはこの建物の地図のようで、これに何の意味があるのかと問おうとしたところで、一つの部屋に目がいった。いや、行くように仕向けられたんだと思うが。地図の中でその部屋だけなぜか、異常に目立つのだ。それも配色的に。ほかの部屋には何も書かれていないのに、その部屋だけは見てくださいと言わんばかりのクリスマスカラー。緑の縁取りに赤い色で塗りつぶされている。

「そこの部屋に行きなさい。見ればすべての謎が解けるぞ。」

そういわれて口角がヒクリと動いた。エルヴィンに目線で訴えかけるも、ただ薄ら笑いを浮かべるだけだ。もう話すことはないってか。そう察した俺は舌打ちを一つ送ってやって踵を返した。

しかたねえからもう少しだけこの茶番に付き合ってやるよ。

そう言い残して。




「…おおお、ここまでうまくいくとは思わなかったよー」
「いや、ここまで協力してくれてありがとう、本当に助かった。」
「まあ確かに、これが一番喜びそうですもんね、兵長。」
「アルレルトも、本当にありがとう。
「いえ、お役に立てて良かったです。」
「さて、あとは彼がうまくやってくれれば、な」

リヴァイが去った後に残された彼らは、廊下の彼方を暖かい目で見ていた。