from.くそメガネ



「ひゃっほーリヴァイ!!お」
「うるせえ」
「ひぎゃ!!」

それはそれは楽しそうに俺のもとへ走ってきたハンジの、そのうざってえ顔をひっぱたいてやった。バシン、といういい音とともにきたねえ悲鳴が上がる。顔面を覆う手のひらから、ひどいよりばい…という情けない声が聞こえた。グーじゃなかっただけありがたいと思え。うずくまっているハンジの腰を蹴り上げ要件を聞くと「ちょっと私の扱い考えてくれないかな」と言って起き上った。

「もう、リヴァイがさえぎるからサプライズ感落ちちゃったじゃん!!」
「あ?」
「リヴァイ、」

おなんじょーびおめでとう!!

本日二度目のその言葉に、思考がフリーズした。かたまったままの俺の眼前にハンジが声をかけながら手を振るのでそれを払う。

「もう、リヴァイったらうれしすぎてフリーズとか、かわいいじゃーん」
「んなわけねーだろ。なんだどいつもこいつも誕生日ごときで…」
「ちょっとちょっとリヴァイ!!誕生日は大事だよー?」
「しるか。」

ペトラと同じようなことを言うハンジに、ああまだこいつにもこういった概念が残っていたのかと感心する。気持ち悪いこどの巨人に対する愛とやらを持っているからてっきり人間の生誕になんか興味はないと思っていた。

「んふふ。私の誕生日プレゼントはこちら!!じゃじゃじゃーん!!巨人の」
「いらねえ」
「ちょ、せめ言わせてよ!!」

予想通りのものを取り出されたのでハンジが言い終わる前に拒否してやる。嬉々として巨人の詰めを取り出したハンジは最後まで言わせてもらわなかったことに対して、それから俺が断ったことに対して文句を垂れている。「私の宝物なのにー」と言いながら爪を見つめる姿は哀愁が漂っているがいささかシュールだ。するとハンジは机に爪を置いて「まあ冗談はここまでにして」といったのを聞いて、今のは冗談だったのかと驚いてしまう。ハンジは机の引き出しをがらりと開けて、中から一つの箱を取り出した。

「はいリヴァイ、こっちが本命。お誕生日おめでとう」

箱を受け取りながら、少なからずとも俺は驚いていた。てっきり本当にプレゼントは巨人の爪やらなんやらだと思っていたのに。開ければ中に入っていたのは小奇麗なハンカチで
、ハンジにしては実用性のあるプレゼントで俺は驚いた。「モブリットと一緒に選んだんだー」というハンジの言葉に納得したが。

「あ、あとこれね」

そういってポケットから取り出したのは、実用性のあるハンカチとは似ても似つかない鋏だった。

「ほう…これでそのふざけた面をそいでくれ、という意味か?」
「ちょ、違うよ!!まあ後でわかるって。」

その言葉を聞いて、ふとさっきも同じような事を聞いた覚えが。

「…おいくそメガネ」
「おおっといけない!!リヴァイ!!確かミカサとアルミンが探してたから行こうか!!」

そういってあからさまに俺の言葉をさえぎるハンジは俺を強制的に部屋から追い出し、そのままどこともわからないところへ連行された。