From.リヴァイ班(大好き)班



朝から続くおかしな雰囲気はなんとなくしていた。
いつもより視線がよくこちらにあつまる。ちらちらと互いに目を見合わせている。それは巨人を討伐するときのそれとよく似ていて。つまりは、何かを成し遂げようと機会を伺っている時の視線だ。あいつらが何かを企んでいることはもうわかっているし、それが俺に関係することだって事も把握している。だが、一体こいつらは何がしたいんだ。そろそろ視線でうなじが削げるであろうころになって、ようやくペトラが「あ、あの、兵長!!」と声をかけてきた。

「…なんだ。さっきからちらちらこっち見てきやがって…」
「あ、すみません!!あの、えぇっと…」

そういって視線をそらすペトラの顔は仄かに赤い。するとそれを見て「おいこら抜け駆けすんな!!」といってペトラの肩をつかんだのはオルオだった。それに至極ウザったそうに眉をひそめたペトラは方に乗るその手を軽く払う。

「抜け駆けって、人聞きの悪いこと言わないでよ。ただあんたたちがいつまでもうじうじしてるから私が戦火を切ってあげただけよ」
「それを抜け駆けっていうんだ…認めろペトラ」
「あー、はいはい、なら皆で渡せばいいんじゃねーの?」

そこにグンタやエルドも加わっていつの間にか話が進んでいく。いまだに内容を把握できていない俺が口を開いたところで、バッと四つのリボンのかかった箱が差し出された。

「…あ゛?」
「兵長!!」

お誕生日おめでとうございます!!

そういわれてからたっぷり三秒。今日が始まって8時間13分が経過してからようやく俺は今日が自分の誕生日だということを思い出した。




「えええええ兵長ご自分のお誕生日忘れてたんですか!?」
「んなもんいちいち気にしてられるか。」
「兵長らしいといえば兵長らしい…」

苦笑いしているエルドに誕生日は大事だと力説するペトラ。女はこういった行事がすきだからか、目がいつもより何倍も本気だ。と、グンタが「それから…」と言ってポケットを探る。それを見たオルオがあからさまにいやそうな顔をして「本当に渡すのか?」とグンタに言っている。こいつらはいったい何を渡す気なんだ。

「いや、渡す。兵長が一番喜ぶのはこれだという結論になっただろ?」
「そうだが…やはりもう一度考えたほうがいいんじゃねーか?過ちを犯しすぎた俺には分かる。それをしてしまったら後で後悔す」
「グンタそれ貸して。はい、兵長!!」
「おい話をさえぎるんじゃねえ!!」

ペトラがグンタからひったくったそれ。ペトラの手の中にあったのは一つのカギだった。

「…なんだこれは?」
「えっと…今は言えないんですけど、後々わかると思います。」

渡されたカギのリボンをつまんで軽く振る。どこのカギだこれは。どこにでもあるそのカギは俺の疑問には答えず、照明の光を鈍く反射しているだけだった。俺が追求しようと口を開いた瞬間にグンタとエルドが「兵長、ここの掃除は俺に任せて」だの「ハンジさんが呼んでましたので言ってください」だの言って俺を部屋から追い出した。釈然としないながらも、くそメガネが呼んでいたといっていたので奴の趣味の悪い研究室に足を運ぶことにした。