何でもないプロローグ


夏の風物詩といえば海やキャンプや花火、祭りだとか沢山あるけれど、やっぱり夏と言えばホラーだろう、ということで放課後、怪談話をするためいつもの5人と一緒にB組の教室に集まった。「怪談話をしよう」と言い出したのは誰でもない私と竹谷で、それに乗り気だったのが勘ちゃん、雷蔵。どっちでもいいと答えたのが鉢屋と兵助だった。そして多数決の結果、放課後に教室で残って怪談話をすることになったのだった。・・・それにしても、


「暑くないか?」

「ねぇ、何でクーラーつけないの?」

「馬鹿、怪談話っていうのは涼しくなるためにするものなんだからクーラーなんて要らないだろ」


日が暮れかけているとはいえまだ蒸し暑い教室の中、何故冷房もつけずに窓だけを開け放しているのかという何でもない疑問を鉢屋と一緒になって尋ねると、真面目人間な兵助が何とも真面目な答えを返してくれた。そりゃあそうだよなぁ、なんて言いくるめられていると、意外に楽しそうに参加している雷蔵が「誰から始める?」と話し始めた。


「んー・・・取り合えず公平にジャンケンとか?」

「了解!じゃあ負けた人から時計回りに話すってことでいいか?」


勘ちゃんの言葉に竹谷が返しそれを皆が了承したことで、ジャンケンで怪談を話す順番を決める方法が決まった。(何かややこしい)そして「ジャンケンポン」という言葉と共に出された私を含めた6つの手は、見事にパーが5つとグーが1つに分かれた。


「うわ、一人負け・・・」

「はい、じゃあ勘ちゃんからね!」


見事に1人負けをした勘ちゃんは悔しそうな表情を浮かべながらも、何を話そうかとぶつぶつと呟き出した。因みに時計回りで行くと勘ちゃんの次は雷蔵が話す番で、その次に鉢屋、竹谷と続いた後私の番が来て、ラストに兵助が話すという順番だった。最後から2番手ということは盛り上がる話にした方が良いかなぁなんて思っていると、勘ちゃんが「よし!」と元気の良い声を出して私たちの方を見た。


「じゃあ始めるよ、俺の話はー・・・」


時刻は午後5時35分、私たちの怪談話は始まったばかりだ。

110720
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