ドタバタと廊下を走る音が聞こえる。その音はどんどん近づいてきて、僕たちの部屋の前で止まったかと思うと、部屋の扉がスパンという音と共に開かれた。あぁ、またか。と思い扉の方を見ると、予想通り少しボロボロになったなまえちゃんの姿があった。
「馬鹿兵太夫!!アンタが仕掛けた変なカラクリのせいでまた怪我しちゃったじゃない!」
「いきなり来たと思ったら何言ってんの?なまえがカラクリに引っかかるから悪いんじゃん」
「う・・・うるさい!アンタが仕掛けなかったら怪我しなかったのよ!馬鹿!」
「知ってる?馬鹿って言うほうが馬鹿なんだって」
「あーもう!アンタと話してると本当腹立つ!ああ言えばこう言うし!」
「どっちかと言うとなまえの方が理不尽なんだけど、わかってる?」
「くっ・・・」
僕と兵太夫が作ったカラクリに引っかかったなまえちゃんが怪我をしたと言いに来たのは勿論今日が初めてじゃない。ほぼ毎日兵太夫にそのことを伝えては、軽くあしらわれている。取り合えず友人たちを止めなければ、自分たちの部屋で喧嘩されてはどうしようもない。
「まぁまぁ兵太夫もなまえちゃんもそのへんに・・・」
「うっ・・・三ちゃんに言われちゃしょうがない・・・。今日のところはこれくらいで勘弁してあげる!けど次こんなことしたらタダじゃすまないからね!わかった?兵太夫!」
「はいはい。それ言うの何回目だっけ?お陰さまでもう耳にタコ出来そうだよ」
「あーもう!三ちゃん!何とか言ってよー!!」
「あはは、もう二人とも・・・ほら、兵太夫もなまえちゃん怪我しちゃってるし謝ってあげなよ」
「仕方ないなぁ・・・。赤ん坊でもわかる簡単なカラクリ仕掛けてどうもすみませんでした」
「アンタ謝る気ないでしょ!もう本当アンタ憎まれ口しか叩かないのね!」
「はいはい、すみませんでした」
「もし大っきい怪我してたらどうしてくれんのよ。・・・これでも女の子なのに」
「安心しなよ、その時は僕が一生面倒みてあげるから」
「・・・はっ!?」
思わぬ兵太夫の発言に顔を赤らめているなまえちゃんを見て、当の本人はと言うといつものように意地悪い笑みを浮かべてこう言い放ったのだった。
「何そのまぬけな顔。凄い面白い」
「〜〜〜〜!!!兵太夫の馬鹿!」
(・・・その一言がなかったらなまえちゃんも素直になれるのに)
110424