「庄ちゃんは頑張り屋さんだね」
そう言ってなまえ先輩はいつも僕の頭を撫でる。自分ではそんなに頑張ってるつもりは無いし頭を撫でられる程、子どもではないと思ってはいるが如何せん年の差というものだろう。僕は一年でなまえ先輩は四年。僕が何を言おうと先輩は笑って僕の頭を撫でるのだ。
「三郎先輩、ちゃんと委員会出て下さいよ。後輩待たしちゃダメじゃないですか!」
「今度から気を付けるよ」
「庄ちゃんは三郎先輩の分まで頑張ってるのに、酷い先輩だなぁ〜」
そう言って僕を見て笑うなまえ先輩に胸が痛くなる。違う、僕が頑張ってるのは委員会のためでもは組のためでもなく、なまえ先輩に褒められたいからなんだ。
「あれ、どしたの、庄ちゃん?」
何も言わなくなった僕を心配してか名前を呼ぶなまえ先輩の声が頭に響く。そして次の瞬間僕は先輩たちが楽しそうに話していることも今が委員会中だということも忘れて大声で叫んでいた。
「なまえ先輩!」
「ん?何、庄ちゃん」
「あの、僕が大きくなって鉢屋先輩よりも強くなったら、僕と付き合って下さい!」
いつも冷静だとか言われている僕が大声を出したことで周りの人は大変驚いていた。けど自分でもは組の仲間以外に大声を出す日が来るだなんて思ってもいなかった。・・・しかもこんな告白をしてしまうとは。
恐る恐るなまえ先輩の様子を伺うと、
「ふふ、期待して待ってるね」
頑張り屋の庄ちゃんなら出来るよ、と言って笑ったなまえ先輩の顔はいつもよりも少し赤い気がした。
110425