※軽いネタ程度に腐要素入ってます。


ちょっと二人だけで話したいことあるんだ、と好きな女性に言われ期待しない男が居るなら俺はそいつを見てみたいと思う。二人きりになれる場所ということで誰も使っていない食堂まで足を運んだのは良かった。そして俺の前の席に座ったなまえは真剣な表情を浮かべると、話をし始めた。


「竹谷、私は凄いことに気付いてしまった」

「おぉ、どうした突然」

「あのね、・・・誰にも言わない?」

「言うわけねーじゃん!」

「三郎と雷蔵と兵助と勘ちゃんにもだよ?」

「あの4人にも?まぁ言わねぇけど!で、何だ?」

「あ、後話聞いたあとに友達辞めるとか止めてね?」

「お、おう!」


よっぽど深刻な話なのか何度も俺に秘密だと促すなまえ。もしかするとこれはやっぱり告白ってやつじゃないか?なんて内心とてつもなく喜びながらなまえの様子を見ていると、やっと話をする決心をしたのか真っ直ぐ俺の目を見つめ、口を開いた。


「・・・あのね、兵助と勘ちゃんって付き合ってるんだって。あ、あと三郎と雷蔵も」

「へぇ・・・って、はぁっ!?」

「吃驚するよね・・・私もクラスの女の子たちが噂してるの聞いて吃驚したもん」

「・・・」


一瞬なまえが何を言っているか理解出来なかったのは俺だけじゃないはずだ。何があったか知らないが、なまえは勝手にアイツら4人が付き合っていると思い込んでいるらしく、どうやらそのことを俺に伝えるか否かでさっきまで考え込んでいたらしい。
突然告げられた話に言葉を無くす俺になまえは眉をハの字にさせながら話しかける。


「三郎がそういう趣味なのは何となくわかってたけどさ、他の3人がそうだったなんて・・・」

「・・・」

「その噂聞いてから4人の顔まともに見れなくてさ・・・で、竹谷に話聞いてもらったってわけ!」

「・・・その噂本気にしてんのか?」

「だって変に信憑性あるんだもん」

「・・・まぁ、確かに」


三郎はともかく、アイツら全員のことをこんなに可哀想だと思ったのはきっと初めてだ。何を隠そうアイツらが本当に好きなのは目の前に居るなまえであり、今までそれなりにアプローチし続けていた。なのにそれに気付かずに、しかもホモだと思われているアイツらのことを考えていると不憫にしか思えなくなってしまう。・・・っていうか最初に告白かもしれないとか思って舞い上がっていた自分が恥ずかしい。そう思いながらなまえの話に耳を傾けていると、なまえは凄く楽しそうな笑顔を浮かべた。


「で、そこで竹谷くんに一つ提案があります」

「んー?どうした?」

「私たちも付き合っちゃおう!」

「は、」

「いやいつ告白しようかと考えてたんだけどさ、このタイミングだな!って思ってさ・・・あれ、竹谷?おーい!」


そう言って笑うなまえは今自分が言ったことの重要性を理解しているのかいないのかいつも通りの笑顔を浮かべながら、固まっている俺の顔の前でおーい、と言いながら手を振っている。ちょっと待てよお前、


「ちょ、マジかよ、えっ?てかお前俺のこと、えぇっ!?」

「あはは、竹谷焦ってる」


未だに状況把握が出来ていない俺を見て笑っているなまえの姿。そしてそんな俺たちにさっきから話題に上がっていた4人が近付いてきた。

「あ、なまえとハチ!」
「二人で何やってんだ?」
「やらしいことしてないだろうな?」
「やめなよ三郎」

「あ、お熱い2カップルだ!」

「は?」

好き勝手言う4人にどう言って誤魔化そうかとしていると、未だに勘違いしたままのなまえが楽しそうな笑顔を浮かべて4人に話しかけた。っていうかさっき目を見て話せないとか言ってなかったか、おい


「えへへ、あのね私と竹谷も兵助と勘ちゃん、三郎と雷蔵に負けないからね!」

「・・・ハチこれどういうこと?」

「いや、あの、」

「で、私まだ竹谷に返事聞いてないんだけど?」

「返事!?」


勘右衛門が貼り付けたような笑みで俺に状況を尋ね、説明しようと口を開くとなまえがややこしい時にややこしくなる話をしてしまい、その言葉に誰よりも早く三郎が反応してしまった。


「ま、まさか・・・お前ハチに告ったのか?」

「うん!4人のお陰だよ。グループ内にカップルが2組も居たら告白しやすくなってさ!」

「は?」

「あ、大丈夫!私同性愛とか偏見ないから!愛には色んな形があるってわかってるから!」

「・・・なまえ、どういうこと?」

「もう!勘ちゃんたら惚けないでよ。兵助と付き合ってるんでしょ?雷蔵は三郎と!もう4人とも隠さなくて良かったのに」

「・・・」

「これからはトリプルデート出来るね!楽しみだ〜・・・なんて言っても竹谷の返事聞いてないんだけどさ」

大好きななまえが俺に告白をしたことが気に食わないのもわかる。そしてそのなまえにホモだとあらぬ疑いをかけられて不機嫌になってしまうのもわかる。だがしかし、殺気を含ませながら俺を睨まなくても良いんじゃないか。というか誰か俺にこの状況をどうにかする術を教えてください。

そして空気を読めないなまえは4人からの殺気を浴びる俺に対して告白の返事を言うように促す。あぁ俺もなまえみたいになりたい。そう思いながら告白の返事をする。勿論答えは、


「俺はトリプルよりも二人でデートしたいんだけどな」

「竹谷・・・!」


照れながらそう言った俺を見ると、なまえは嬉しそうな表情を浮かべ「みんなのお陰だよ!本当にありがとう!」と俺ではなく4人に向かって意味の無い感謝の言葉を伝える。そしてそんななまえの姿を見たせいか俺に向ける4人の殺気がさらに強まった気がしないでもない。しかし、俺は俺の幸せを手に入れることが出来たのでよしとs・・・いや、俺は大変なことをしてしまったのかもしれない。というかなまえ、早く勘違いだってことに気付いてやってくれ!

(ふざけるな)
(朝日を拝めると思うなよ)
(この虫左ヱ門)
(どうやってこらしめようか)


100529
ごねんなさい
何故こうなったのか私にもさっぱり
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