「兵助、本当睫毛長いよね。羨ましいなぁ」
「そうか?朝起きた時睫毛が絡んで目が開けられないこともあるし、色々と面倒なだけな気がするけど」
なまえの羨望の声にそう溜息交じりに返すと、なまえはそんな俺を信じられないといった目で見た。
「何それ羨ましい!付け睫毛とか絶対要らないだろうし、それ以前にマスカラすら要らなさそうだよね。っていうかまず兵助は顔立ちが良いもんなぁ。色白だし整ってるし・・・」
ああだこうだと言いながら俺の顔をまじまじと見つめるなまえ。
しかし自分では気付いていないのかお互いの距離がどんどん近付いていて、触れるとまではいかないものの息を感じる程にはすぐ側になまえの顔があった。
・・・もちろんそんなおいしい状況で大の男が我慢出来るはずもなく、俺はそのままなまえに口付けていた。
まさかキスをされるとは微塵にも思っていなかったのか、顔を真っ赤にさせながら口をパクパクとさせているなまえを見て、あぁ可愛いなぁとしみじみ思っていると、なまえは照れを隠すようにポカと俺の胸を弱い力で叩いた。
「いきなり何してんの・・・」
「いや、顔が近かったから、つい」
あと、元はと言えば無防備に顔近付けたり、睫毛が長いのなんだのって言って男のプライドを傷付けたお前が悪い。
わざと拗ねたような口調でそう言うと、なまえは罰が悪そうに視線を逸らした。
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