「ねぇ、君はどうして俺のことが好きなの?」


何か面白いことでもあったのかニヒルな笑みを浮かべた臨也さんは、機嫌が良さそうに私に話しかけた。



「理由は有りません。臨也さんは人間としては最低に値する人だけど、私はそれでもそんな最低な臨也さんが好きなんです。」


そう答えると、臨也さんはまた面白そうな笑みを浮かべた。



「君は面白いことを言うんだね。じゃあ、俺が君を好きだと言ったら、どうする?」


「驚くでしょうね、臨也さんが一人の人間に固執するなんて中々ありませんし。あぁ、平和島さんは別として。取り合えず恋愛と人類愛の違いを説きたいと思います。」



平和島という名前を出した途端に苦虫を咬んだような表情をした臨也さんに苦笑しながらも、私は臨也さんが出す質問に答え続けた。



「じゃあ、俺が君に対してとてつもなく酷いことをしたとする。そしたら君はどう思う?」


「別に、臨也さんがとてつもなく酷いことを平気でやってのけるような人だということを知っていますし、それが私の好きになった折原臨也さんですから、どうも思いませんね。」


その答えを聞いた瞬間、臨也さんの口がまたニタリと笑い、何故かハハハと声に出して笑い始めた。



「それじゃあ、最終問題だ。俺が君に今ここで死ねって言ったら、どうする?」


「……死ぬと思いますよ。変に固執して臨也さんに嫌われたくないですから」


してやったりという風な表情を浮かべながら最終問題を告げた臨也さんに答えを返すと、臨也さんはまるで悪戯が成功した子どもの様な表情で楽しそうにアハハハハと笑った。



「じゃあ、今ここで死ぬ瞬間を俺に見せてよ。そしたら、君のこと恋愛感情として好きになってあげる」


「無理です」


「……何で?今俺に嫌われたくないって言わなかった?良いの?君のこと嫌いになっちゃうよ?俺」


「さっきの答えはあくまで“思う”だけで、実際にはその場に立たされると人間は意見が変わるものなんですよ」


私の答えを聞くと、今まで無表情だった臨也さんが途端にアハハハハハと声を荒らげ笑い出した。かと思うと、目線を私に定めながら今までで一番楽しそうな笑顔を浮かべた。



「へぇ、君中々面白いね。気に入った。何なら俺の彼女にしてあげるよ。どう?」


「遠慮させていただきます。私、臨也さんのことは好きですけど、死にたいわけではないですから」


100922
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