人にとっての幸せの理由とは様々な形をしていて、もし自分の愛する人とその幸せの理由が同じなら、どんなに良いだろうか、と。そんな答えがないことを学生時代に考えたことがあった。







部屋でのんびりと過ごしているとふと昔のことを思い出してしまい、隣に居た彼にそのことを聞いてることにした。




「ねぇ、銀ちゃんにとっての幸せって、何だと思う?」


そんな突拍子も無いことをいきなり言い出した私に驚いたのか、少し目を見開いて珍しく考え込むきっくん。暫く考えていたものの、自分の中での答えが出たのか口を開くきっくんに、私は黙って話を聞くことにした。


「俺さ、たまに夢見たりすんだわ。」


「・・・夢?」


「そ、夢。・・・俺が居て、なまえが居て、俺となまえの子供も居て。三人で一緒に飯食ったりしてる夢。子供に構ってばっかのなまえに俺がヤキモチ妬いて、拗ねてる俺をなまえが優しく抱きしめてくれんの」


「・・・」


「よくわかんねぇけどさ、幸せってそういうもんじゃね?」


そう言って少し恥ずかしそうに笑ったきっくんの笑顔を見た瞬間、自分の目から自然に涙が零れるのがわかった。そっか、そうだった。この人は昔からこういう人だった。こんな質問、最初から意味なんてなかったんだ。



「・・・銀ちゃん、」


「ん?」


「あのね、・・・大好き」




幸せを探しに行きませんか
(私と、貴方の物語)


121006
prev | top | next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -