4:The girl
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慣れないながらに電車に乗り、私は○○駅の次の駅で降りる。
すると目の前にあるのは、…彼が通う、早乙女学園の卒業生が使っている寮。
この場所からは似つかない、洋館みたいな風貌だ。
「…行こう」
私はインターフォンを鳴らす。
すると、『どちら様でしょう』と尋ねられた。
どう言えばいいのだろう。
とりあえず私は、『…っじ…神宮寺 レンさんの関係者です』と言った。
すると、身分証明証がいるとのこと。
口が裂けても、『婚約者です』なんて言うわけにはいかない。
言っちゃ、いけない。
そのことを胸に刻みつけて、私は近寄ってきた警備員さんに身分証明書を見せる。
そして、
「神宮寺 レンとは、どんなご関係で?」
「…では、この手紙をお渡しくださいませんか…?きっと、『速水 綾華から』と言えば、受け取ってくださるはずですから」
私がそう言えば、
「…綾華…?」
ナイスタイミングなのか、バッドタイミングなのか。
彼が、帰ってきた。
「…―――レン、さん…」
久しぶりに会った彼は、前に会ったときと何一つ変わっていない。
ただ、
「神宮寺さん、そちらの方は…?」
“隣にいる”1人の女の子がいた。
彼は、こんな風に1人の女の子を連れて歩くことはあまりなかった。
…皆無といってもいい。
それが、今やこんなにも近くにいることを許している。
―――それが、答えだ。
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