4:The girl  [ 5/14 ]


慣れないながらに電車に乗り、私は○○駅の次の駅で降りる。
すると目の前にあるのは、…彼が通う、早乙女学園の卒業生が使っている寮。
この場所からは似つかない、洋館みたいな風貌だ。

「…行こう」

私はインターフォンを鳴らす。
すると、『どちら様でしょう』と尋ねられた。
どう言えばいいのだろう。
とりあえず私は、『…っじ…神宮寺 レンさんの関係者です』と言った。
すると、身分証明証がいるとのこと。
口が裂けても、『婚約者です』なんて言うわけにはいかない。
言っちゃ、いけない。

そのことを胸に刻みつけて、私は近寄ってきた警備員さんに身分証明書を見せる。
そして、

「神宮寺 レンとは、どんなご関係で?」
「…では、この手紙をお渡しくださいませんか…?きっと、『速水 綾華から』と言えば、受け取ってくださるはずですから」

私がそう言えば、

「…綾華…?」

ナイスタイミングなのか、バッドタイミングなのか。
彼が、帰ってきた。

「…―――レン、さん…」

久しぶりに会った彼は、前に会ったときと何一つ変わっていない。
ただ、

「神宮寺さん、そちらの方は…?」

“隣にいる”1人の女の子がいた。
彼は、こんな風に1人の女の子を連れて歩くことはあまりなかった。
…皆無といってもいい。

それが、今やこんなにも近くにいることを許している。
―――それが、答えだ。



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