「ねえ、クリス」


私はね。


「何だ…?」


あなたの負担にはもう、


「別れて欲しい」


―――なりたくなかったの。





頑張ってるあなたが好きだった。甲子園を本気で目指して、辛くても、苦しくても。前を向いて、必死に頑張ってるその背中を見るのが、好きだった。

一時は、本当に挫折したかのように生気が抜けたかのようになった時期もあった。その姿を見るのは、私にはとても辛かった。だからこそ、傍を離れた時期もあった。支えなきゃいけないときに、私は距離を置いてしまった。

そんなときに、彼を立ち戻させたのは、後輩である沢村くんだ。

彼のあの明るすぎる存在が、彼の心を立ち戻させたのは、支えたのは、言うまでもないと思う。沢村くんが、彼を。

…そう考えただけで私は嫉妬してしまった。

嫉妬する権利ないのに。そんな自己中心的な私が、彼の隣にいていいはずがない。


そう決断して、卒業式の日に私は別れを告げて。
まだ、青かったんだ。子供だったんだ。

そしてそのまま、大学進学を迎えた。







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