断固、拒否反応。 | ナノ

◎7

なんで、なんでなの。
私じゃなくたってたくさんいるじゃない。
あの今日いた七海さんだって、作曲家コース。
たくさん、あの中にいたじゃない。
なのにどうして私に言うの。

『綾華。あなたは将来、ママと同じ作曲家になってね?』
『いやいや、綾華。綾華はパパと同じアイドルになるよな?』

『わたしは、ママと同じ作曲家になりたい!』

―――あの日の私はもういない。


「ああ、もう。憂鬱…」

私はまた、学校へと行く道を歩いている。
私はあの後、更衣室に置いてあった自分の服を持ち去り、制服を着たまま帰った。
帰ってから、制服を着て帰ってしまったことに気づいたのだが。
当然、この制服は返さないといけないし、カッターシャツはちゃんと洗ってアイロンも掛けた。
すると、見つけてしまったのだ。

―――桐沢 綾華と。

両親はきっと、この制服をもう買っていたのだろう。
つまり、この制服は私が持っていても何の支障もないということ。
なんて私は親不孝者なんだろうとも思ったが、私は私の信念を曲げるつもりはあの時もそうだけれど、今も毛頭ない。

「…私はこの制服が誇りなの」

これは私の自慢。
私の、誇り。
これを手放すことなど、私にはできない。

この制服以外は、私に同じものなんだ。

「綾華!」

珍しく校門前にいる真奈美。
真奈美に、

「おはよう!」

そう言って、私は明るく彼女のもとに行く。
今日は職員会議で、午前中、しかも2時間で下校できる。
終わったらそのまま、真奈美と遊びに行く約束をしている。

それが楽しみだから、こんな憂鬱な気持ちも忘れられる…はずだ、きっと。



mae tsugi

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