断固、拒否反応。 | ナノ

◎1

早乙女学園。
それはアイドルや作曲家を養成するための次世代を担う芸能人を育成するための学校で、毎年倍率200倍を誇る、超人気校だ。

そんな早乙女学園が私は、嫌いだ。

「綾華、おはよう」
「もう、本当にうっとおしいんだけど」
「…また?」

私の名前は、桐沢 綾華。
一般人のように見えて、実は私は一般人というには程遠い親戚関係にある。

そう。
私は、早乙女学園学園長であるシャイニング早乙女の姪に当たる。
今は、シャイニング早乙女が買い取っているマンションの一室に住まわせてもらっているのだが。

それには、理由がある。

「親たちがこんなに有名だと大変だね、綾華」

そう。
私は親が海外に行っており、叔父であるシャイニング早乙女のところに預けられているのだ。
そもそも、私も早乙女学園を受験しろって言われていた。
両親的には同じアイドルか作曲家になって欲しかったみたいで、すごく押されていた。
半強制的、みたいな。

一方私は、本気で芸能界なんて興味が全くないし、親と同じ道なんて進みたくなかった。
それに絶対に親の言いなりにはなりたくなかったために私は反発して、早乙女学園“の横”にある名門私立高校に受験した。
それに親はかなりキレて、こうして海外公演を連発してオファーを受け、最低でも1年、最高何年で帰ってくるかはわからない。
今では一切の連絡はなし。
親としてどうかとも思うが、もうどうでもいい。

…っていうのも、私の両親も母が作曲家、そして父が歌手で、ライブをすればチケットは即完売、CD、DVD、写真集出せばベストセールスを記録するぐらいの歌手。
そんな偉大な良心を持ち、誇りに思う?そんなことない。
そんな両親が私は大っ嫌いだった。

ただ、両親とは似ずに頭だけは良かったため、こうして都内随一の名門私立に行っている。
だから私は、両親と同じ道を歩まない。
私は、大学に行って大企業に就職、そしていつかは自分で会社を立ち上げたい。
そう思っているのだ。
だから早く自立がしたい。

そんな反抗期を迎えている私を心配して、合格していた公立高校を蹴ってまで私に着いてきてくれた大親友、寿 真奈美【ことぶき まなみ】。
彼女は何もかも知っていて、私の良き相談相手。

「本当にもう嫌。真奈美の家に住みつこうかな…」
「若干無茶でしょ、それは」
「もう嫌、本気で嫌」

私が今住んでいるのは、到底一介の高校生がひとりで住むことはできないであろう高層マンション。
そこは、芸能人たち…シャイニング事務所所属の人がたくさん住んでいて、かなり不思議な目で見られることが本当に苦痛でたまらない。
そうですよ、あなたたちとは違う人種ですよ。
そう言って叫びたい。

そしてそれだけじゃない。
かなり報道陣…というか、パパラッチみたいな人が張っていて、『君はあのマンションの住人?』と聞かれることが多々ある。
そう聞かれたときには『個人情報なので』とか『プライバシーに関わることを易々と人に教えるなと言われているので』と言ったら、見知らぬ芸能人の名前とともに、ゴシップ誌に載ったりもした。
私としては『誰だよ、それ』だし。

「で、今日はその釈明をすべく、あそこにある早乙女学園に行って参らねばならないのよ…」

本当、ありえない…。
そう言っても、真奈美は『社会見学よ、社会見学』なんてお気楽なことをかましちゃってくれる。
社会見学だ、嬉しいななんて言える年齢ではなくなったんだよ。
とも言えずに、私はただ机に項垂れていた。



mae tsugi

戻る


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -