こえが届いたらさようなら



ライブに行った。ST☆RISHデビュー二周年感謝5大ドームツアー最終公演。何百倍の倍率があったようだが、運よく当たった。目的はただ一つ。

…最後に彼に会うために。


<さあ最終公演Tドーム!行っくぞ―――!>


一十木くんの掛け声と共に、始まったライブ。始まりは『マジLOVE1000%』。


<ドキドキで壊れそう1000%LOVE!HEY!>


大好きだよ、私だって。ドキドキして、いつも壊れそうなんだよ。…けれど、私だけじゃないんだよね。もう、貴方を見てドキドキするのは、何人かの人たちじゃない。


<Are you ready?>


ずっと、ずっと。大好きだった。あなたの味方は、私だけだって。そう思ってた。でも、もう。私じゃない、大切な人、大切な場所を見つけたあなたにはもう、私は必要じゃない。さようならも言えないまま、私は貴方から離れて行く。もう、この公演が終われば、もう。…さようならする。この恋にも、あなたにも。もう、二度とあなたの前には現れないから。だから、この公演が終わるまでは、好きでいさせてよ。


<迷子のココロ泣かないで いつだって君の傍にいる>


いないじゃん。私の傍に、いてくれないじゃん。そう思いながら聞けば、終わるトキヤの歌。



『さーくーらーさーくーらー』

『本当トキくんおうた上手だね!』

『本当?』

『うん!将来は歌手になったらいいんじゃない!』

『できるかなあ』

『できるよ!』



あの日々が懐かしいよ。……何て思っていれば、時間は早く進む。進んで欲しくないのに、進んでしまう。何て残酷なの、神様は酷いよ。そう思いながらも、私はただただ、叫んだ。


「好きだよ―――トキヤ!!」


そう叫んだら、トキヤがこちらを振り向いた。けれど、こんな大人数がいる中で私を見つけられるはずがないのに。なのになぜか、私の声が届いたような気がしたんだ。……けれど。これだけで満足だよ。

……さようなら、トキヤ。

さようなら、初恋の人。


  
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