御幸くんとテニスコート

体育の授業も、次の授業から体育祭の練習になるということで、体育祭まであともう少しなんだなあと感じる。ということで、今日はテニスだ。2クラス合同でさらに男女共にテニスコートに行き、自由にテニス。真面目にやるもよし、遊びでするもよし。


「久々だなあ、テニス!」


有希子とそう話していれば、『ミユキ、やらない?』と去年同じクラスだった麻衣が誘ってきて。彼女は現役テニス部だ。だから私のことを知らない子は『何で麻衣が、片岡さんに?』と言っていた。


「有希子、」
「いいよ。やっておいでよ」
「…ありがと、じゃあしよっか、麻衣」


始まりはあの体育祭のテニスのやつだ。簡単なルールで、点数が書かれている的になってるものに、10球で何点稼げるかという言わばサービス競技。現役は参加不可になっていたが、私は幸いなことに現役ではない。そういうことで出場したら、過去最高点を叩き出した。そういうことで、麻衣と話すようになって、テニスの授業のときは必ず麻衣と1ゲームする。


「斎藤と片岡、ゲームするなら男子コートに行け」


女子が使うコートは面数が少ないから、私たちが一面使ったらいけないのかと思いきや、ボールが強烈だからとか。失礼な。ちゃんとコントロールできますよーだ。そう思いながら、麻衣と『本当久しぶりだね』と話して男子コートに入る。そのために今日はマイラケットを持ってきておいたのだ。
男子たちは、『一体何が始まるんだ?』と言うような目で私たちを見る。一年の頃のクラスメイトたちは、私たちの試合を見に来ている。


「仕方ないから、俺が審判してやるよ」
「さすが先生!」
「へいへい、早くサーブ決めろ」


ジャンケンをして私が負ける。私たちの真剣な様子に、男子たちも見ていることがわかる。女子たちも、好奇心からか見に来ている。


「フィッチ?」
「スムース」
「…うげ、付いてないなあ」
「今日は貰うわよ、ミユキ」


負けるもんか。私はいつもは下ろしている髪を上げる。それと同時に、


「ワンセットマッチ、斎藤トゥーサーブ」


その掛け声とともに始まった試合。麻衣との久しぶりの試合。麻衣の渾身のサーブを見送る。やっぱり威力は上がってるなあと思いながら、麻衣を見る。


「わざと見送るのやめてよね、ミユキ」
「だって麻衣のサーブ怖いし」
「よく言うよ、ほら!」


次のサーブ。さっきよりも増した威力。コーナーギリギリ。けれど。パコンッとインパクト音が響く。そして、麻衣は取れず。


「…やってくれる。だからミユキとの試合はやめられないんだよ」
「…私も一応テニスしてたんだからね。負けられないよ」


そう言ってまた試合を続ける。ああ、この感覚、この音。やっぱり私は好きだ。



御幸くんとテニスコート
((久しぶりのテニス))
((やっぱり大好きだ!))

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