どうしてあなたは、唐突なの。

日向さんが帰った後のあのみんなの質問の勢いは素晴らしかった。
『あれって、日向 龍也だよね?!』『なんで桐沢さん、知り合いなの?!』なんてマシンガンのようにみんなに問われて、私はそれにも疲れ果てた。
ただ、『知り合いだよ、昔のね』と言ってはおいたが、みんな納得のいっていない表情で『そうなんだあ…』なんて言ってた。

ごめんなさいね、みんなの期待する回答じゃなくて。
そう思ったのは言うまでもない。

普段なら、『早く終わらないかなあ』なんて、仕事が終わるのが楽しみで仕方がないのに、今日は『まだ終わらないで』なんて思っている。
やっぱり、人間憂鬱なことは憂鬱なんだよ。
5時になることを私は恐れてる。

できれば、キャンセルしたい。
私には、話すことなんてないのだから。
…一体、何の話があるというの?

私が何かをしでかしたなんてこともなければ、早乙女学園の誰ともあの日以来会ってもないし、お咎めを食らうような話ではきっとないはず。
結局モヤモヤした気持ちから、仕事になんて切り替えることができるわけもなく、午後からは仕事に手が付かなかった。

「ああ、もう。…一体、何なのよ…」

折角、忘れかけていたのに。
ねえ、なんで忘れさせてくれないの。
私は、忘れたいの、忘れさせてよ…龍也。



mae ato
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