あの日の、決断のすべては。

『…アイドルに恋愛はご法度。わかってるでしょう?龍也』
『わかってる…っ、わかってるんだよ…!そんなこと!』
『なら―――』
『それでも俺は、桐沢が…っ、どうしようもないくらいに綾華が好きなんだよ…!』

学園に在学しているときから、少しずつ芸能界の仕事をしていた龍也。
そんな彼は在学していながらも、もうデビューを約束された存在だった。
それほどまでに実力もあったし、カリスマ性が極めて他との群を抜いていた。

そんな彼が、『アイドルを辞めてもいい。それほど、綾華が好きなんだ』と。
そう言ってくれたときには、本当に嬉しかった。
私も、龍也のことは好きだったために、すぐに付き合うことを了承した。

私たちは、誰にも内緒にして付き合っていた。
しかし、―――シャイニング早乙女は甘くはなかった。

『Miss.桐沢、YOUは…YOU達は、付き合っていますね?』
『え…っ』
『隠そうとしても無駄でーす』

ある日、私だけ呼び出されてそう言われた。
その瞬間に悟ったのだ。
彼、シャイニング早乙女は、…理事長としての早乙女さんは、私ではなく龍也を取ったと。

その証拠に、

『Miss.桐沢…YOUは考えたことがありますか?Mr.日向の可能性を』

そんなことを言いだした。

『え…』
『彼のカリスマ性は天性のモノでーす』

その瞬間、気づかない人はいないだろう。

『…それを潰すか生かすかは、YOUにかかっている』

心のどこかでは、何となく気付いていた。
何となく、予測していた。
“きっと、学園長はこの事実がわかったとき、どちらかを呼び出す”と。

それに私は、もしもこのことが分かった時には、私が責任を取ると決めていたから、逆によかったのだが。
でも、それでも、辛かった。
私が、いなくなればいいんだと。
そういうことなんだということが。

だから私は、

『責任は、私にあります。私から、告白しましたから』

と。
すべての責任を取って、学園を中退した。




mae ato
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