冷めた男
「椋、まだ?」
「ごめん、今行くね!夏希 さん!お弁当ありがとうございます!いってきます!」
「うん、行ってらっしゃい」
椋と幸を見送って手を振ると太一くんと、十座、天馬の欧華高校生組を見送る。どうやら天馬の車で一緒に登校するようで仲が良さそでなによりだ。
「真澄くん!早く起きないと遅刻しちゃうよ!夏希 ちゃん俺たち先に行くね!」
「うん、また後でね」
寝ている真澄を引っ張って連れていってくれる咲也に感謝だ…そうじゃないと真澄はいつまで経っても寝てるんだから…ありがとう咲也。
「ふぁ…ねみ」
「あれ?万里くんはまだ準備しなくていいの?」
「三限から行く予定」
「ちょっ、万里行くよ」
「え?体調でも悪いの?大丈夫?」
「いづみさんただのサボりですよ…万里ほら、早く行こう?」
万里を引き摺って連れていこうとしていると肩に重いものがのしかかる…きっと至だ。てかそろそろほんとに早く行かないと遅刻してしまう。1.2限は文化祭の準備だっていうのに。また、サボったらグチグチと委員長に言われてしまう。
「至、ちゃんと寝てないの?また、クマ酷いけど…ブラヴォーのランキングまだ確定してないの?そういや、万里もしてたよね?ランキング争い」
「NEOって奴死ぬほどウザイ。今日も仕事の合間に戦績稼がないと…最悪有給使って…」
「あ、NEOって俺っすけど?」
「は?……あー、神の手……なるほど」
「ランキング争いって事は至さんがたるちっすか。昨日の深夜、一瞬俺が戦績抜いたっしょ?それにコイツマジで神の手っすよね」
「…マジでお前がNEOかよ」
「神ゲーマーって聞いてぶっ潰そうと思ったのになかなかマウントとらせてくんねーんだもん」
「粘着うざい」
「私は2人ともうざい。私の頭の上で話さないでください」
今日の夜一緒にゲームするようで意気投合したらしく仲良くて何よりです。私個人としては神の手の崇拝者が、増えることはいい事だと思う。だってお菓子という貢物が増えるから。
「じゃあ、夏希 行ってくるね、気をつけて」
「行ってらっしゃい~」
「じゃあ、万里行くよ~」
「わかった、わかったから引っ張るなちょっと待ってろ」
いやいや準備しだした万里を無理やり押して急かし準備させていると左京さんが起きてきたのか談話室に入ってきた。
「お前ら早く行かないと遅刻するぞ」
「ほら~万里がダラダラ準備してるから!急いでよ!」
「わかってる!うるせぇな!」
「じゃあ、いづみさん!左京さん!いってきます!」
仲良さそうに話し込む2人にそう言って手を振った。横にいる万里の機嫌は悪いけれど至との共闘が楽しみなのかいつもよりかは、機嫌が良さそうだった。
「お前、いつもああなの?」
「なにが?」
「別に、なんでもねぇわ」
「んー?あっそ」
確かに万里は芝居も練習なしで人並み以上にこなせてる。だけれど、それはいつもみたいにただこなせてるだけで飛び抜けて上手なわけではない。でも…万里はそのせいでいつしか、必死になったり情熱を持つことがなくなった…。
だけど、そんなのいつかきっとすぐにでも万里よりか上手な人があらわれてコテンパンにやられちゃうはずなのだ。その時初めて、万里は気付くのかな…
「ねぇねぇ、万里…万里より十座の方が演技上手になったらどうするの?」
「はぁ?アイツが?俺より?笑わせんな、そんな事あるわけねぇーだろ?」
「うーん…そうかな?ある日突然変異はあるかもしれないよ?それに…」
「んだよ?」
「んーん、別になんでもない」