倹約家の独裁
「おはよう…どうしたの?何かあった?」
「全体ミーティングがあるらしいんだよね」
ポカポカと気持ちのいい日曜日。今日は洗濯日和だなーと思い洗濯物を干し終わり談話室へと戻ると全員起きてきていた。どうやら、咲也曰く全体ミーティングがあるそうでいづみさんの表情は硬い。
うーん…何だかちょっと嫌な予感…?
「組を越えた全体ミーティングなんてはじめてじゃね?」
「きっと、ビンゴゲームね!」
「それは、どうだろ?」
「人いっぱいー!」
「全員集合ってなると、やっぱ秋組歓迎会!?」
「昨日の夜にやったのに?」
「お昼前だしタコパとか!?」
どうやらここにいないのは左京さんだけだし、きっと左京さんが全体ミーティングをやると言い出したのだろう…たぶんアレだとは思うんだけど…。
「全員集まってんな。入団にあたってまず、お前らに言っておくことがある。迫田、」
「へい」
質素、倹約、節制生活…と書かれた紙を持った迫田さんは誇らしげである。昨日帳簿を見せたら全て無駄な経費は削減しろとのお達しがあった…それが今に至る…みんな、なんかごめんね。
「MANKAIカンパニースローガン?」
「みそ、こんにゃく、セロリ生活…」
「うん、ある意味理にかなってる気がする」
「どこがだ!質素!倹約!節制生活だ!」
どうやらこれは左京さんが作ったカンパニースローガンらしく誇らしげで上機嫌だ。
「まず、風呂は各組持ち時間20分の中で入れ」
「え!?20分!?」
「軍隊か…」
咲也と至は私に助けを求めるが思わず目を逸らしてしまった…私のせいではないけどある意味私のせいでもあるかもしれない…!
「5人で入るとかムリ。俺は監督と姉貴と入る」
「却下!」
「何言ってんの?私がいづみさんと入るからジャマしないで」
「次に、夜22時消灯とする。ブレーカーを落とすから以後電気は使えないと思え」
そういった瞬間至の目から光が消えて私をバックハグしながら脱退…とブツブツ呟き始めた…やばい!!至からゲームを取ったらただの屍になってしまう。
「マジか…深夜アニメが消えた…」
「早すぎ!!」
話を聞いていけば何から何までほとんど経費削減と言った内容で頭が痛くなってきた。過度な節約はストレスを感じて余計爆発してしまうとテレビで言ってたいたような…各面々から苦情が出る…まぁ、そりゃそうだよね。
「うるせぇ!お前らっ!この寮の水道光熱費がどれくらいだと思ってるんだ!?」
「支配人…どのくらいなんですか?」
「えっ?あぁ…夏希ちゃんどうなんでしょう?」
「はぁ…ここの水道光熱費は我々負担ではないです。どうやらずっと払い続けてくださる方がいるんですがきちんと確認したところファンの方との事です。…あと、左京さん…流石にやりすぎです。過度な節約はよくないです。かえって反乱を招きます。ここは、偉人にならって徐々に始めましょう」
「まぁ…お前がそういうなら…改めて言っておくが、このMANKAIカンパニーが俺たちの組に積み上げた借金は1000万期限までに返済出来なかったら劇団は容赦なく潰す。その条件は忘れてないか?」
「えええ、でもそれは古市さんが入団する前の話で仲間になったし借金の話もそれでチャラになったんじゃ…」
「んなわけねぇだろ!」
「支配人…いい加減にしてください…」
「まだまだ借金残ってるのか?」
「うーん…一応春夏組の公演で少しは返済したけれどまだまだ先は長いなーって感じかな」
支配人は初代までもがノミネートしかいけなかった領域のフルール賞を目指すと意気込み始めた。確かに目標は高い方がいいけれど…このままだと本当に劇団がバーレスクに変わってしまう。
全国公演、それにファンイベントたくさんの案が出てワクワクするがその資本金も要相談である。
万里に目を向ければ十座しか見えていないようで少し悲しくなった。