部屋割り上等
「と、言う事で劇団の説明はこれくらいかな?今の時点で寮に入りたいって人はいる?」
いづみさんから説明を受けている時だってこのバカ2人はお熱いことで睨み合っていた。本当に恥ずかしいのでやめていただきたい。
「入る」
「てめぇ、入んのかよ?」
「万里に許可要らないでしょ?」
「ああ、そうだな。てめぇは入んな」
「はぁ?じゃあ、俺も入るわ」
「んだと!?」
「あぁ?文句でもあんのか?」
「はいはい…十座くんと万里くんは入寮と」
万里を睨みつければ視線を逸らさせて余計腹が立つ。私は許してないし未だに怒っている。のだちゃんと謝ってくるまで許してやるものか。
「2人とも未成年だから、後で親御さんの許可を取って正式に決定ってことになるからね」
「俺も入るッス」
「太一くんもね。了解。臣くんと左京さんはどうしますか?」
「はぁ…あのバカどもには目付け役が必要だろう」
確かに、喧嘩が始まった時に左京さんがいてくれれば大変助かるし、個人的にも寮内の事なのど相談しやすい環境ではある。
「じゃあ、左京さんも一緒に入寮って事で」
「俺は、ちょっと迷ってる」
「無理はしなくてもいいよ。通いでも問題ないし」
「出来れば入りたいんだが、家のことは俺が全部やってるから俺がいなくなったら家がどうなるか…」
そう言った臣の言葉に重みを感じた。正直私も真澄を家に1人…となったら怖い。あの子ちゃんとご飯食べないしひたすら寝てそうだし…家族とちゃんと相談して決めて欲しい…いづみさんもそう思ってたみたいだったけれど、臣も含め全員めでたく入寮となった。
だが、しかし問題は部屋割りだなぁとボーッと考えてたら阿鼻叫喚になる。
「あぁ!?兵頭と!?」
「こいつと同室だと!?」
「さ、左京さん流石にそれはどうですかね…」
「うーん、いいんじゃないかなぁ」
「お前っ!ふざんなよ!」
「おい、お前っ」
「なにが?2人とも本気で芝居したくないの?そんな覚悟だったら辞めちゃえば?」
「夏希に同感だ。いずれにしよ、こいつら2人の関係がいつかこのチームの足枷になる。だったら手っ取り早く共同生活でチームワークを身につけさせる方がいい」
「まぁ、どうにかしないといけないのはそうですけど…だからって…」
「まぁ、幸と天馬もなんだかんだ上手くいってるし大丈夫じゃないかな?いざとなれば追い出しましょう!」
「ふざけんな!なんで勝手に決められなきゃなんねぇんだよ!オッサン!」
「コイツと同室なんて冗談じゃねぇ。24時間年中無休で喧嘩売ってきやがる」
「人をコンビニみてぇに言うんじゃねぇ!」
「事実だろうが!コンビニ野郎」
「ふっ…コンビニ…」
「まぁまぁ、2人とも」
「あぁ!?夏希お前っ笑ってんじゃねぇーぞ!」
「うるせぇ!ガタガタ言ってんじゃねぇ!てめぇらに決定権はねぇんだよ!」
流石に左京さんの剣幕には勝てるはずもなくぎゃあぎゃあうるさいふたりは黙り込む。うん、怖いねぇ…と太一と2人呟く。
「で、どうすんだ監督?」
「え、えーとそれじゃあ、十座くんと万里くんは104号室で相部屋ってことで…」
「黙れ!監督がそう言ってんだろうが!」
「残りは、105号室と106号室だけど…」
「左京さんは1番年上だし一人部屋でいいんじゃないかな?」
「賛成ッス」
「いや、特別扱いはしなくていい」
そういった瞬間お供である迫田さんの声が聞こえた。今日も今日とて元気そうでなによりだ。ファン第一号になるらしく毎日通うそうだ。
「迫田さんが毎日押し掛けることを考えると、やっぱり一人部屋がいいんじゃないですかね?」
「悪いな、そうさせてもらう」
「それじゃあ、臣くんと太一くんは105号室、左京さんは106号室を使ってください」
「よろしくな、太一」
「はいッス!」
入寮日は来週の土曜日にしてもらい支配人と軽く掃除をする。元々掃除はしていたからそんなに汚れてはいないけれどせっかく使ってもらうのだから綺麗にしておきたいのだ。