一成の意見
「いづみさん、ちょっといいですか?」
「ん?どうしたの?」
「実は…千秋楽のチケットの事なんですか…まだ残ってます」
「1人10枚のチケットノルマって結構厳しいよね」
「いっぱいあるー!」
「三角星人はあと何枚残ってる?」
「ん~と、8枚!」
「結構残ってるね」
「三角さんは、誰を誘ったんですか?」
「近所のおじいちゃんとおばあちゃんー!」
近所のおじいちゃんとおばあちゃんか…三角らしいな、せっかくなんだし来てくれると嬉しいねと笑い合う。
「オレ、全部無くなったからゆっきーとすみーの手伝うよん!」
「全部!?もう無くなったの!?」
「トモダチいっぱい呼んじゃった!」
「流石…コミュ力高男」
「カズくんはトモダチ多いよね!」
「椋は?」
「あと3枚!」
「結構減ってるじゃん!」
「うん!夏希さんのすすめで陸上部の子達を誘ったんです。みんな、来てくれるって」
「ほんとう!?よかった!来てくれるんだね!」
「流石…MANKAIカンパニーのマネージャーだよ…本当に頼りにしてるよ…ありがとう」
「いづみさんがいなければ私はにも出来ないんですから、無理せず頑張ってくださいね!私も見習って頑張ります!」
「はぁ…すごくいい子…すき」
「その調子で真澄と結婚「しません!」ちぇ…」
「そっかー、サイコストーカーと結婚したら実の姉妹になれるのか…」
「幸くんも、夏希ちゃんをのせないで!」
「はーい」
どうやら、千秋楽のチケットは天馬も残っているみたいでなかなか現状は厳しそうだ。いづみさんからのお達しの通りみんなでチケットを完売させるように頑張ろうとなり稽古場へと移動する。
「ねぇ、天馬ちょっといいかな?」
「あ?んだよ…チケットなら」
「チケット欲しいの。2枚」
「は?」
「千秋楽のチケット。今回はね春組が劇場案内とか物販とかいろいろ手伝ってくれるし…欲しいんだけど、ダメかな?」
「いや、やる」
「ありがとう、楽しみにしてるからね」
天馬からチケットを貰ってリビングに向かう。チケットを貰ったから万里を連れて観に行こう。ゆっくり夏組の千秋楽観たかったし…舞台袖で観るのもいいけれどやっぱり客席からお芝居をみたいのだ。
「おお、ご機嫌だねいいことあった?」
「うん。天馬から千秋楽のチケット貰ったの」
「ふ~ん、オレと観る?」
「至は、物販のお手伝いでしょう?」
「夏希ーっ、今日の晩飯作るけどキャベツどこか知ってる?」
「あ、ちょっと待ってね」
「はぁ…また綴に取られた」
「じゃあ、至さんも料理作ればいいじゃないっすか?それなら大好きな夏希とずっと一緒にいれますよ?」
「その言い方ストーカーみたいで好きじゃないんだけど。真澄じゃないんだし…それにオレに料理させていいの?」
「オレが悪かったっす…ってなんでオレが謝ってんの!?」
エプロンを着て料理を始める。今日は、お好み焼きとたこ焼きと、はしまきと…粉物パーティーなのだ。なんせ、食べ盛りがたくさんいるのだ…量が尋常じゃない。
「あっ、夏希ちゃん、準備しておくからよかったら夏組呼んできて貰えないかな?」
「咲也ありがとう、なら呼んでくるね」
咲也に甘えて部屋を出て稽古場を目指せば皆は手を止めて相談しているようだった。
「まぁ、どちらかといえばアクション入った方がいい?かな?いやでも、入らなくてもよくなくもない?わかんね!」
「なんだそれ」
「テンテンとカントクちゃんで決めちゃってよ!」
「……はっきり意見言えよ!」
「いやぁ…本当におれはどっちもいいと思ってて」
「ヘラヘラ笑って流してるだけだろ!」
外から見守るしかない…どうやら、演出でなにかあったみたいなのはわかったけれど…どうやら、カズくんが稽古場で自分の意見を主張しないのに天馬は痺れを切らしたのだろう。
やっぱりみんなのことよく見てるだけあって…芝居を良くしようと思っている天馬だからこそ出来る指摘でもある。
「とりあえず、アクションシーンについては保留にしよう。また、意見があったら聞かせて?」
少し経ってから稽古場の扉をノックしてご飯だといえばみんな表情は暗かった…仕方ないけど…夏組が元気ないのはやっぱり寂しくはある。