海へ行こう!
「おおーっ!!海だーーっ!」
「あっちぃ…ちょ、咲也!シトロンさん!先々って…行っちまったか…」
「姉貴は?」
「先に更衣室行ったよ…車で着替えられるわけないだろ?」
「オレは別に」
「オレも困らないかな」
「セクハラの域超えてるんですけど…」
車のトランクから荷物を下ろす綴はオレと真澄を軽蔑の眼差しで見つめた。
夏希至っての希望で今日は有給申請し、無事に海へとやってきた。
ぶっちゃけ、めんどくさかった。オレは泳げないし、まぁでも毎日野郎ばっかのせわしてくれてるわけだしましてや水着が見れるわけだそりゃ夏希の頼みだし叶えてやるしかない…浜辺にでも寝そべりながら今日の消化でもするか…
「お待たせ、更衣室混んでて遅くなっちゃった」
「おー!とってもキュートネ!」
「シトロンありがとう。幸と一緒に買いに行ったの、幸が選んでくれたんだよ」
可愛らしいピンクのビキニもちろんラッシュガードも着ているが、可愛い…推せるわ。
ニコニコと笑う夏希を見つめて、今日は本当に連れてきて良かったと改めて思う。
「つーか、アンタら準備手伝ってくれないッスか…さっきから俺1人で準備してるんスけど!!」
「姉貴が世界の誰よりも可愛い」
「ふーん…じゃあ、カントクさんは?」
「カントクは別」
「はいはい、カントクも夏希もどっちも可愛いよな、じゃあ、真澄は机組み立てて」
黙々と黙って真澄は机を組み立てていく。シトロンは死にそうになりながら咲也と浮き輪を膨らませてる、そういや夏希も泳げないんだっけ。
「至、私やるよ。運転疲れたでしょ?休んでてね」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
オレの嫁に甘えて、椅子に座る。笑顔で楽しそうに準備していく夏希を横目に今日の消化を進めていく。
5人は楽しそうに海で泳いでる、もちろんオレは荷物番。楽しそうに遊ぶ夏希は、可愛い。幸に感謝しかない…まぁ、アイツらがいてくれれば悪い虫もつかないだろうし、オレはゲームができればどこだっていい。
「至、今日はありがと。とっても楽しいよ」
ふと顔を上げれば笑顔で笑う、夏希がいた。オレの嫁は今日も可愛い…それにしても胸デカイな…巨乳でスタイル抜群で落ち着いた髪色…頭もいい運動神経も悪くなさそうだし…ほんと、2次元のキャラだな。そう思えば真澄もそうだから、ほんとこの碓氷姉弟スペック高いな…
「至?」
「ん?」
「ぼーっとしてるけど、大丈夫?熱中症とかじゃないよね?」
「え、あぁ、うん。大丈夫」
「あれ、至さん体調悪いんですか?オレ、スポドリ買ってきます!」
私も行くネー!とシトロン真澄、そして咲也はスポドリを買いに自販機へと行った。俺の頭はぐいっと夏希に、持ち上げられて柔らかいものにあたる。
「今日だけ特別だから、無理させちゃってごめんね」
「至さんっていっつも役得ッスよね」
「綴に言われたくない。執筆後いっつも夏希に、膝枕してもらってるじゃん」
「ぐ……そうでした」
「夏の思い出作れたね。ありがとう、綴もありがとう」
「おう、夏希にはいつも、お世話になってるし海とか何年ぶりだろうな…」
「オレも何年ぶりだろ」
「私、海でこうやって泳いだりビーチバレーしたりするの初めて。真澄も初めてだと思う、だからありがとう」
ニコリと笑った夏希が、なんだか泣きそうな顔して笑うから少し胸が痛くなった。
「はぁ!?春組海行ってんのか!?」
「うるさい!耳元で叫ぶな!!」
「いいなぁ…海かぁ」
「夏希ちゃんもいないって事は6人で海かー夏希ちゃんの水着メチャメチャ見たかった!ゆっきーが選んだんでしょ?めっちゃ見たかった!」
「うん、可愛かった。夏希スタイル抜群だし、素材いいから何着せても似合う。控えめに言って最高だった」
「悪い男に引っかかったらどうするんだ!!」
「うーん、それは大丈夫じゃないかな?真澄くんや至さんもいるし、夏希ちゃん、凄くしっかりしてるし」
「いや、1番ヤバい2人でしょ。真澄と至は2人共夏希のサイコストーカーだよ?」
「まぁまぁ幸くん…」
「あ、そうだー夏希がね、前ー変な男の人に声掛けられてたよー?連れて行かれそうになってたからオレ怒っておいたー!!」
「え?そうなの!?」
「はぁ!?なんだと!?」
「カントク、夏希は、ほんと危機管理能力ゼロだからちゃんと見張っておいた方がいいよ。男運ないし」
「わ、わかりました」
「あーーー!!綴るんからLIMEきた!!ずっりぃ!!夏希チョー可愛い!!」
「じゃあ、夏組公演が成功したら皆でプールでもどうかな?夏希ちゃんも誘って」
「おお!!イイネ!」
「とりあえず今は稽古だ!!稽古!!練習するぞ!!」