平和な朝涼み
「ふぁぁ…」
「天馬おはよう、眠そうだね?大丈夫?」
「大丈夫、夏希こそ朝早いな…」
眠そうに談話室に入ってきたのは天馬だ。朝練でもしていたのか少し汗ばんでいてタオルを手渡すと黙って受け取ってはぁとため息を吐いた。
うーん、天馬のファンがこの状況を見れば倒れちゃうくらい羨ましいんだろうなぁと思うと頭が痛くなったので考えるのをやめた。
「何時もこの時間だよ。朝ごはんとお弁当作ってるの。天馬の分も作っておいたからお昼食べてね」
「弁当…?俺の分もあるのか?」
「もちろんだよ。みんなの分作ってるもん。至とシトロンにはキャラ弁作ってるよ」
「へぇ…すっげぇな。こういう弁当初めてだわ」
「え?…そうなの?てか、なんかごめん…初めてを私のお弁当で…」
「 いや、嬉しい。サンキューな」
「いえいえ、大したものじゃないけどね。あ、朝ごはん食べれそう?」
「あぁ、もらう」
目の前に朝食を並べてテレビを見ながら2人でゆっくり食べる。天馬はどうも考え込んでいるみたいでテレビには集中してないようだった。
「考え事?」
「ん?ああ、来月あの女優とCMあるんだけど、苦手なんだよなぁって」
「そうなの?凄く優しそうな雰囲気なのに」
「案外女優って怖いんだよ」
「なんか、芸能界のドロドロは聞いてはいけない気がする…あ、そうだ。CMおめでとう」
「まぁな、オレは生まれつき根っからのスターだからな」
「ふふ、期待してるね。今日の夜は綴も交えてミーティングするって言ってたよね、楽しみだなぁ」
「あの人が書く脚本面白いからな」
「綴が聞いたらとても喜ぶと思うよ」
2人で朝食を食べ終え少し経った頃ぞろぞろと起きてきたはいいが眠そうだ。特に至は目の下には大きなくま…あぁなんだっけ、新しいゲーム買ったとか言ってたかな?
「夏希、オレにも珈琲ほしい」
「はいはい、離れてくれなきゃ淹れれないよ?ちょっと、至重い離れて」
「至さん、ワガママ言ってないで離れてください。オレらまで珈琲飲めなくなるんすから!」
綴が困った顔してベタベタとくっつく至を引き剥がしてくれるなんだか見慣れた光景になってしまったがこうやって助けてくれるのは綴と真澄だけなのだ。
「おはよう、ポンコツ役者のくせに朝は早いんだね」
「おはよーん!ゆっきーは朝から辛辣ぅ!」
「うるさい、チャラ男」
「おはようございます!うわぁ~ホテルみたいな朝食です…!」
「ありがとう、椋くんは紅茶珈琲お茶どれがいいかな?」
「ええと。僕は紅茶で」
「はーい、幸は?」
オレも同じのと言われて、全員分用意する。朝はバタバタして忙しいけれど1人でいる時間よりかは充実しててとても、好きだ。
「夏希ちゃんは、ホント手際がいいよね。淹れてくれた珈琲も、紅茶もお茶も美味しいもんね….幸せ」
「そう言って貰えて凄く嬉しいです。あ、いづみさんまだ朝は冷え込むんですからちゃんと、暖かくしてくださいね。女性なんですから」
「それは、夏希ちゃんも同じだよ?」
「私は大丈夫ですよ」
いづみさんの方にブランケットを掛けて再び台所に戻れば三角さんが帰ってきた。早朝に起こされてどうしてもさんかくおにぎりの朝ごはんを作って欲しいと頼まれたのだ。どうやら、彼は日課であるさんかくを探しに行く予定があるらしい。
「夏希ー!さんかくあったよー!!」
「三角さんお帰りなさい、さんかく見つかったんですね」
「うん!あとで一緒にみようねー!」
「咲也起きたからもういい。監督、姉貴おはよう今日も可愛い」
「あぁ、真澄おはよう。咲也今日も起こしてくれてありがとう、ちょっと真澄寝癖ついた、ままだよ?早く顔洗ってきて」
「別にいい」
「オー!真澄!フケツな男は女性にモテないネー!嫌われるヨー!」
ナイスタイミングでシトロンがそう言ったのを聞くと真澄はリビングから消えていったきっと顔でも洗いに行ったんだろう。全く起こさなかったらいつまでも寝てるんだから…ほんと、咲也に感謝だ。
「夏希楽しそうだね」
「至も楽しそう」
「そりゃまぁ、オレはね。」
「あ!おい!!オレが見てるだろ!!」
「はぁ?別にいいじゃん。今スマホ見てたし」
「まぁまぁ」
「あー!そう言えば天馬くんこの女優さんと次共演するって言ってましたねー!」
「はぁ?うっざ…チャンネル変えよ」
「あぁ!おいっ!!」