告白
「今日のミーティングはこんなもんか…あとは、明日の千秋楽突っ走るだけだな」
「後悔しないようにしろよ」
「っす」
3人で落ち着いた頃にミーティングがあるので寮の談話室へと戻る。この、タイミングで皆に話すのが1番いいと思ったのだろう…臣が決心したように顔を上げた。
「ひとついいか」
「なんすか?」
「太一…」
「…うん…」
「太一くん?どうしたの?」
監督や秋組の皆は不思議そうに太一を見つめる。左京さんは気づいてたようだったけれどどうして今まで何も言わなかったんだろう?
「あの…今までの嫌がらせ全部、俺がやったんだ。ごめん」
「えっ!?」
「……マジかよ…夏希が泣いてんのもそれが理由か」
「バレてた…」
「そんだけ目腫らしてたらバレバレだっつーの」
「……なんであんな事したんだ?衣装、どんだけ苦労して作ったかわかってんだろ」
「ほんとに、悪かったと思ってる」
「太一くん…どうして?何か事情があったの?」
いづみさんが優しくそう尋ねると太一は顔を上げて真っ直ぐいづみさんを見つめる。
「……俺、元々GOD座に所属してたんだ。それでスパイとしてMANKAIカンパニーに潜り込めって言われて…この劇団の舞台をめちゃにしたら、GOD座のメインキャストにしてくれるって言われたから、俺ーつ本当にごめんなさいっ」
「…つまり、GOD座の主宰に命令されたって事だな?」
「はい…」
「でもどうして…うちの舞台を潰せなんて…」
確かにそこが1番腑に落ちない…万里の言う通り本人に確かめる他ないのかもしれないけれど…流石に危ないとか言って怒られそうなので黙って聞く。太一は泣きながら謝るばかりで言葉にならない。
「俺も太一の異変に気付いてて、何も出来なかった。悪い」
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、」
「なぁ……"ポートレイト"やろうぜ?監督ちゃん以外でポートレイト見てんの俺と夏希 だけじゃん?だから思うんだけどさ。あれ絶対お互いに見せ合っといた方がいい。特に今は、あれを見て俺は兵頭に負けたくねぇって思ったし、左京さんがこうるせーことクドクド説教してくる理由がわかった。あと大して年変わんねーはずの臣が、なんか妙に達観してんのもわかった気がする。でも、太一のだけが違った、雄三のおっさんが言う通り、お前のポートレイトだけは不思議とお前が見えてこなかった」
万里…あの時そんなこと思ってたんだ…なんだかんだいいながらもきちんと周りの事見えてるし万里は人一倍優しいのだ。
「それに…俺の披露がまだだったしな…太一、あの時見せたのとは違う、お前のマジのポートレイト見せてみ。お前がやったあとで、俺もやるからさ」
「でもっ…俺…」
「そんで、みんな納得させてみろよ。説明するより、それのがわかりやすい」
「うん、わかった。やってみる」
そう言って稽古場へと皆で稽古場へと移動した時万里がこそっと保冷剤を私に手渡して優しく笑った。
「顔、ひでぇぞ」
「うるっさい…女の子にそれ言う?」
「へーへー、可愛可愛い…悪いな、助かった」
「何が?」
「太一だよ。お前ずっとなんか、気付いてたろ?」
「私…なにもできなかったから」
「うっせぇよ。そんなん俺も一緒だわ…お前がいなかったら太一がもっと傷ついてたかもしんねぇだろ」
「……うん、万里。ありがと…はぁすっかりリーダーだなぁやだなぁ…荒くれ万里も良かったのになぁ」
「うっせぇ!」