「ラ・ム・ダ・さああーん!」
チョウジタウンの小さなお土産屋さんの地下。そこにアジトはあった。
ルターさんはこのアジトに来るのは初めてらしく、地下へ続く階段を見たときは酷く驚いていた。
そして今現在、彼等はというと、奥の部屋でラムダと対面していた。
リゼは部屋に入ってラムダの姿を見た瞬間、先ほどの奇声にも似た叫び声を上げて、彼への突撃を開始した。膝の上にちょこんと座ったこの状態は、護衛にやって来た団員と言うよりは、久しぶりに再会を果たした父子の様だった。
父代わり
「お久しぶりです、お父さん!」
「誰がお父さんだ。」
「アポロから大体の事は聞いてると思うけどよ」
「ここの警備しろってことでしょ? 任せて任せて!」
「大雑把だなリゼは……ま、そーいう事。」
はしゃぐリゼを適当に受け流したラムダは、泣き黒子のある垂れ目で、突っ立ったままのルターに目をやり、声をかけた。
「分かった?」
「…ハイ」
「んじゃ、アンタには外回りの監視任せるわ」
さてと、俺様はアテナの手伝いにでも行くかなー…
えー私は?ねえねえねえ!ラムダさん何か仕事ちょーだーい
仲睦まじい光景を繰り広げる2人に頭を下げたルターは、そのまま真っ直ぐ、アジトの外へ向かって足を動かすのだった。(…親子のようだ。)
「……リゼ。」
「?」
ルターが出て行ってしばらく、急に黙り込んでしまったラムダに首を傾げていたリゼは、突然呼ばれた自分の名前にキョトンとした顔をした。ラムダを見ると、垂れ目でどちらかというと楽観的な表情の多いラムダが、真剣な顔をしている。
リゼは少し緊張した面持ちで彼の膝の上から降りた。
「どうしたの、ラムダさん。」
「俺等が電波実験をするのは、ポケモンを操る事もそうだが……もう一つ、目的がある。」
「もう一つ?」
アポロ様から貰った資料には、特殊な電波でこの近くの怒りの湖に生息するコイキングを、強制的にギャラドスに進化させ、ロケット団の戦力にする。そう書いてあったのだが。
「電波実験で、怒りの湖にギャラドスが大量発生したら、回りの目はそっちに集まるだろ? ……その隙を突いて、コガネシティのラジオ塔を占拠する。」
「ラジオ塔?」
幾度と無く見たその塔に、一体何があるのだろう。そう疑問に思ったのも束の間、ラムダさんの口からは思いがけない言葉が飛び出した。
「ラジオ塔を占拠したら、ジョウトとカントー全域の電波をジャックして……サカキさまへメッセージを送る。」
「!」
サカキさま!
その作戦が成功すれば、きっとサカキ様はどこかでそれを聞いて下さるだろう。そして、ロケット団へ……サカキ様が、戻ってくる。
緩む口を何とか引き締めるリゼに気付き、ラムダは笑った。
「だから、この作戦は失敗するわけにはいかねーのよ。リゼ、協力してくれ。」
「はい!……あれ? でも、どうしてこの話、ルターさんにはしてあげなかったんですか?」
彼の言葉に頷くと同時に、新たな疑問がまた一つ姿を現した。それをそのまま言葉にすると、ラムダは困った顔をして呟いた。
「んー強いて言うなら、」
「言うなら?」
「ちょっと、いけ好かないヤツだから?」
予想外の答えに驚くのと同時に、やはりラムダさんはラムダさんだと、いつまで経っても変わらない彼に、リゼは少しだけ安心するのだった。
10/09/03
15/03/16 修正
チョウジタウンの小さなお土産屋さんの地下。そこにアジトはあった。
ルターさんはこのアジトに来るのは初めてらしく、地下へ続く階段を見たときは酷く驚いていた。
そして今現在、彼等はというと、奥の部屋でラムダと対面していた。
リゼは部屋に入ってラムダの姿を見た瞬間、先ほどの奇声にも似た叫び声を上げて、彼への突撃を開始した。膝の上にちょこんと座ったこの状態は、護衛にやって来た団員と言うよりは、久しぶりに再会を果たした父子の様だった。
父代わり
「お久しぶりです、お父さん!」
「誰がお父さんだ。」
「アポロから大体の事は聞いてると思うけどよ」
「ここの警備しろってことでしょ? 任せて任せて!」
「大雑把だなリゼは……ま、そーいう事。」
はしゃぐリゼを適当に受け流したラムダは、泣き黒子のある垂れ目で、突っ立ったままのルターに目をやり、声をかけた。
「分かった?」
「…ハイ」
「んじゃ、アンタには外回りの監視任せるわ」
さてと、俺様はアテナの手伝いにでも行くかなー…
えー私は?ねえねえねえ!ラムダさん何か仕事ちょーだーい
仲睦まじい光景を繰り広げる2人に頭を下げたルターは、そのまま真っ直ぐ、アジトの外へ向かって足を動かすのだった。(…親子のようだ。)
「……リゼ。」
「?」
ルターが出て行ってしばらく、急に黙り込んでしまったラムダに首を傾げていたリゼは、突然呼ばれた自分の名前にキョトンとした顔をした。ラムダを見ると、垂れ目でどちらかというと楽観的な表情の多いラムダが、真剣な顔をしている。
リゼは少し緊張した面持ちで彼の膝の上から降りた。
「どうしたの、ラムダさん。」
「俺等が電波実験をするのは、ポケモンを操る事もそうだが……もう一つ、目的がある。」
「もう一つ?」
アポロ様から貰った資料には、特殊な電波でこの近くの怒りの湖に生息するコイキングを、強制的にギャラドスに進化させ、ロケット団の戦力にする。そう書いてあったのだが。
「電波実験で、怒りの湖にギャラドスが大量発生したら、回りの目はそっちに集まるだろ? ……その隙を突いて、コガネシティのラジオ塔を占拠する。」
「ラジオ塔?」
幾度と無く見たその塔に、一体何があるのだろう。そう疑問に思ったのも束の間、ラムダさんの口からは思いがけない言葉が飛び出した。
「ラジオ塔を占拠したら、ジョウトとカントー全域の電波をジャックして……サカキさまへメッセージを送る。」
「!」
サカキさま!
その作戦が成功すれば、きっとサカキ様はどこかでそれを聞いて下さるだろう。そして、ロケット団へ……サカキ様が、戻ってくる。
緩む口を何とか引き締めるリゼに気付き、ラムダは笑った。
「だから、この作戦は失敗するわけにはいかねーのよ。リゼ、協力してくれ。」
「はい!……あれ? でも、どうしてこの話、ルターさんにはしてあげなかったんですか?」
彼の言葉に頷くと同時に、新たな疑問がまた一つ姿を現した。それをそのまま言葉にすると、ラムダは困った顔をして呟いた。
「んー強いて言うなら、」
「言うなら?」
「ちょっと、いけ好かないヤツだから?」
予想外の答えに驚くのと同時に、やはりラムダさんはラムダさんだと、いつまで経っても変わらない彼に、リゼは少しだけ安心するのだった。
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15/03/16 修正