ネタメモ | ナノ

2020/08/23 Sun

※土方弟主


生まれたときから自分よりも優れた存在が側にいるとどうなるか、想像できるだろうか。
おれには兄貴がいる。顔がかっこよくて、男気があって、運動神経がよくて、スタイルも良くて、頭が切れて(まあ勉強の頭はおれと同じくらいだけど)、顔がめちゃくちゃにかっこいい兄貴が。もちろんそんな兄貴は爆発的にモテたしいつだって主役で、おれは二番手だった。兄貴自身は出しゃばったり進んで人の前に出たりするようなタイプじゃないけど、やっぱり兄貴は目立つし頼りがいがあるから周りから担がれやすい。
おれが今まで好きになった女の子は軒並み兄貴の虜だったし、おれなんて精々兄貴との橋渡し役くらいにしか思われていなかっただろう。いや、きっと今でもそうに違いない。女の子が「土方くん」と言えばそれは当然おれの事ではなく兄貴のことで、兄貴に振られた子がおれのところに擦り寄ってくるのなんて嫌というほど経験した。おれはいつだって兄貴の代打、プランB、妥協して選ぶ方。まあ何が言いたいかと言うと、そんな事が幼少期から続けば当然おれの自尊心はゴリゴリと削られていくわけで、ある程度自我が確立する頃にはもう自分のことを兄貴の添え物だとしか思えなくなっていた。人生のだいぶ序盤の話である。
幼小中とそんな生活を続けてきてやっと高校で兄貴とは別れられるチャンスだったのに、哀しいかなおれたちの学力は似たり寄ったりでこの銀魂高校にしか受からなかった。最悪だ。もっと最悪なのは、これまでの三年間ずっと兄貴と同じクラスなことだ。いい加減にしてくれ。しかも兄貴だけじゃなく近所のバカ…いや、幼馴染みたちもずっと一緒なのだ。ここまで腐れ縁という言葉がしっくりくる関係はないだろう。おれはアイツらから離れたくて仕方がなかったのに運命の悪戯というか銀魂高校のクラス替え担当者がそうさせてくれなかった。
だからおれは積極的にそこ以外のコミュニティを作らないと駄目だと思い至ってそれで──いつの間にか、高杉というめちゃめちゃな不良とつるむようになっていた。

「今週おれがしらない女子に話しかけられたの、何回だと思う?」
「そんなん数えてんのか。気持ちわりぃ」
「答えは12回でした。そのうち兄貴関連は何回でしょう」
「しるか」
「答えは11回でした。高杉くん大不正解〜よってチューパットのちょっと長い方はおれのね」
「…残りの1回は?」
「"この辺に消しゴム落ちてませんでしたか?"だって」
「……」
「わかってるから良いんだよ、おれはどうせ兄貴の代打で添え物だし…。でもその点高杉って不良だけど良い奴だよな。おれのことをおれとして見てくれるし、いくらでも家に泊まらせてくれるし、チューパットの長い方くれるし、飯食わせてくれるし、家は涼しいし」
「後半ほぼタカリじゃねえか」
「俺もういっそのこと、高杉んちの子になっちゃおうかな〜」
「…じゃあ結婚するか、卒業したら」
「……高杉ってそういう冗談言うんだ」
「冗談じゃねえっつったら?」
「……えーっと…普通は結婚より先に、お付き合いからじゃない?」


〜〜〜

から始まるような3Z高杉夢書きたいですね。

夏は暑いから(土方家はリビングにしかクーラーが設置されていないので夜寝苦しいが、高杉家は寝室にもクーラーが導入されていて涼しい)という理由で高杉の家に入り浸ってほぼ家に帰らない主人公が、なんだかんだで高杉と付き合うことになるような、さくっとした話。

高杉の停学が明けてからというもの毎朝高杉と遅刻ギリギリに登校してくる主人公を(高杉はすぐ溜まり場に行くので教室まで来ない)、悶々としながら注意する風紀委員の兄・土方と、「兄弟なんだから朝起こしてやりゃあ良いじゃねーですか。…あ、そういや全然家に帰って来ないんでしたっけ(笑)」と煽る外野の沖田など。

さくっとした話、と言いつつ全然さくっとのボリュームにならなそうなのでチラ裏に投げます。


.




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -